新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

スポーツ観戦記

2015-11-29 10:38:24 | コラム
冷静な評論家は言う:

昨28日はテレビ観戦で多忙だった。午後1時過ぎに代々木上原の吉田クリニックに出掛ける時にJリーグのチャンピオンシップだかのガンバ大阪と浦和レッズの試合のキックオフだった。3時過ぎに帰宅してみれば、期待通りに未だ後半の始まったくらいでガンバが1点リードしている状態だった。浦和がシーズンを通して上位だったので、会場は浦和のホーム。当然スタンドは赤の浦和のサポーターで埋められていた。

サッカー:
私のように試合の技術というかサッカーそのものの面白さを見て批判したい方であると、あのように自分たちの支持するというか応援するティームの為に90分間立ち続ける事も辞さないという姿勢にとてもついていけない。あれでは興奮の余りのサッカーの技術であるとか時には応援する選手の至らなさに腹を立てている暇が無いのではないかと、他人事ながら心配になってしまうのだ。だが、興業面から見れば誠に結構な事ではないかなどとは思うが。

試合の内容にも触れなければなるまい。私はサッカーという競技は根本的には我ら農耕民族には不向きだとまでは言わないが、ヨーロッパや南米の連中のように熱狂し興奮してプレーし、観客までもその戦う姿勢で魅了するのは狩猟民族のためにある競技だと考えている。しかし、昨日のガンバ対レッズでは我が国のサッカー選手たちもあそこまで狩猟民族的に熱狂して戦う闘志を見せていたのはやや意外だったと少し感じていた。

だが、農耕民族としてはその興奮と闘志を如何に見せるかの手法が未熟で、言わば「意余って力足りず」の状態に陥っていたと見た。即ち、パス回しにも、タックルにも、シュートにも単純なミスと言うかやり損ないと言うべきか、凡失が多く見られたのは少し興醒めだった。特に延長の後半でガンバが決定的と思わせてくれた得点する前の我が国のサッカーの得意技であるバックパスの大失態で、あわやオウンゴールかと一瞬疑わせられた丹羽のパスなどはその未熟さの表れだっただろう。

あの時の事を日本代表に選ばれているGKの東口は「あれならば枠内には行かないと感覚的に解っていたので慌てなかった」と言っていたのは、GKとしての基本を心得ている発言だと、今日になって知った。それは、当方が中学の頃に教えられた「GKは常にゴールが自分の後方に何処にあるかを意識していなければならない」と合致するからである。それは自分の横なり上なりを抜けそうなシュートが入るか否かかを瞬間に見切って反応せよという教えであるからだ。迂闊に飛びついて手に触って相手にCK(コーナーキック)のチャンスを与えるなという意味でもあると言えるだろう。

それにしても浦和の勝負弱さは何とした事だろうと批判する前に、ガンバの「失うものがない通算第3位」の割り切った強さを褒めておくべきだろう。あれだけ相手にボールを支配され、ピンチを切り抜け続けた精神力と、前年度の三冠達成の経験にものを言わせた「勝ち方を知る」強さには、勝負というものの意地悪さを見せつけられた気がした。結論としては「浦和レッズは弱かった」となるだろう。

個人的な好み(と偏見)を言わせて貰えば、私はあの妙味キチンと何時も髪の毛をなでつけて出てくる槙野と言う全日本代表にも選ばれているディフェンスを評価していない。記憶に誤りが無ければ彼は一度欧州だかUKに出ていって失敗して帰ってきた実績がある。そこまでのものなのに浦和では重鎮なのはおかしいと思うし、守る方でも印象的なものを感じさせないのだ。浦和には中心となる者がいないのと、全員に全日本に選ばれそうで選ばれない中途半端感がある。

フィギュアスケート:
次ぎにフィギュアスケートに行こう。サッカーの後はNHK杯と言うだけに羽生結弦君が登場する男子のフリースケーティングという具合になっていた。私はフィギュアスケートという競技の何処かスポーツなのか良く解っていない時期があった。しかし、ある時にロシアの14歳の女子・ラジオノアだったかの練習風景をテレビで見せられて、その凄まじさというか、言うなれば身体能力と体力の限界にまで追い込んでいる鍛え方を見て認識を改めていた。

羽生君がアナウンサーが「異次元の強さ」と表現した実力を見せて優勝した後でインタビューに答えて「それだけ鍛えてあったので」と息を弾ませながら言ったのには十分に納得させられた。あそこまでの強さと上手さと精神力に達するまでには人並み外れた努力があったのだろうが、そこには彼ならでの天分があったのだと思わずにはいられない。彼には浅田真央が屡々見せる「何時失敗するか」のスリルがないのは絶対的な長所であるし、これから先に何処まで行くのかという期待を抱かせてくれる点が凄いと思う。

全くの余談だが、将棋の世界にも同じ「羽生」と書く名人がいるが、彼は「ハブ」さんである。この辺りに我が国の漢字文化の面白さと難しさがあると思わずにはいられない。その昔、藤沢の医院で「タカタニさんですか、コータニさんですか、コウヤさんですか、タカヤさんどうぞ」と言って看護婦さんが呼んだのを聞いた。ご想像通りに漢字では高谷さんだった。