あらためて“event”を調べてみた:
加瀬英明氏に刺激されて「イベント」というカタカナ語を追及してみた。結論から先に言ってしまえば「矢張り、我が国の英語教育で単語を覚えさせることに重点を置いていることの負の成果だったと断定しても、それほど誤りではない」ようだった。
そこで気が付いたのだが、これまでに「このイベントいう言葉はおかしいのでは」と考えたこともなく、思い出してみれば実際に“event”なる単語を業務上でも日常会話でも使った記憶もないし、誰かnative speakerが使ったのを聞いた気もしなかった。要するに、加瀬氏が指摘されたように重たい言葉だったようなのだ。
それにも拘わらず、「催し物」を意味するカタカナ語として定着してしまったようだった。私が知る限りの使い方では「~の場合」の意味で“in the event of blackout”即ち「停電の場合に」のように使われていた例があった。それほど使いにくい単語だったと思う。それが、我が国では、いともアッサリと「催し物」の意味になっていた。
これは必ずしも誤用ではなくジーニアス英和には「(重要な)出来事、(注目すべき)(大)事件;(年中の)行事、催し」とあるのだから。でも、「催し」の順位は低いようだ。
それではと、Oxfordを調べてみた。“a thing that happens especially ~ important“と先ず出てきて、その例文に“The election was the main event of 2004.”が出ていた。何と、私がつい先刻指摘したばかりの“main“の例文にもなっていたのだ。
次に”a planned public or social occasion“とあり、3番目に“one of the races or competitions in a sports program“が出ていた。「イベント」=催し物とは何か何処かが違うような気がする。だが、「催物」という熟語を捨てて「イベント」をテレビや新聞が勝手に置き換えたのだから、私が介入する余地はないと思う。何れにせよ「辞書くらい引いてから造語しろよ」と言いたくなった。