新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

インドネシア・バリ島のヌサドア

2022-11-17 08:22:16 | コラム
1997年1月にヌサドアに:

G20がインドネシアのバリ島にあるリゾート地・ヌサドア(Nusa Dua)で開催されたと聞いて、少しばかり懐しくもあったので、思い出話を。

この時は観光旅行ではなく出張だったのである。それは伊藤忠商事の手伝いで、インドネシアにある華僑財閥のSinar Masの傘下の超近代的で大規模な製紙会社のAsia Pulp & Paper(APP)の工場見学に、関東地方の大手紙商の幹部30名ほどを案内したときのことだった。1955年から紙パルプ産業界に身を置き、世界最大の製紙国であるアメリカの工場を見る経験があった私が、見学したAPPの2工場の規模と超大型で高速で高品質の紙を作る抄紙機に度肝を抜かれた出張だった。

その見学と商談の旅を終えて、最後に漸く観光にと案内されたのが「神の住む島」などと賞賛されていた観光地バリ島だった。先ず私が何とも言えない思いにとらわれたことがあった。それは、噂には聞いていたことだったが、デンパサール空港の到着ロビーには格好が良いインドネシア青年どもが立っていて、出てくる日本人と思しき若い女性に次から次へと声をかけていたこと。海外でボーッとなっている若き女性たちを目当て軟派師だと聞かされた。

我々一行はデンパサール空港からヌサドアに向かった。案内役の駐在員から厳しく警告されたことは「この地区の塀の外には、案内されたとき以外には絶対に出ないこと」だった。これを読まれた方でバリ島を訪れたことがない方は「何だ。それほど治安が悪いのか」と思われるだろう。だが、世界中で我が国ほど治安が安定している国も場所もないのだ。即ち、不慣れな外国でノコノコと単独行動されて何かがあれば、商社の責任問題になりかねないという意味だ。言ってみれば、東南アジアに行けば、常に四方八方に警戒を怠ってはならないということでもある。

ヌサドアの中では全てが整っており、免税店もあった記憶もあるし、食事も買い物も楽しめたし、綺麗で監視の行き届いたプライベートビーチもあった。だが、私は寡聞にしてG20を開催できるほどの大規模な会議場の施設があったとは知らなかった。我々はコテージ風になっているグランドハイアットに一泊して帰国したのだが、このホテルは素晴らしかったと思う。

短時間に観光もしたが、世界で最もイスラム教徒が多いインドネシアだが、この島ではヒンズー教であり、その関連の施設も遺跡も見学した。そして知り得たことは神が住む島とは必ずしも島全体が「神々しい」訳でもなく、それほど風光明媚な島でもないようだということになるだろうか。お寺か神社の見学には短パン(半ズボンは死語か)は許されず、レンタルの腰巻きのようなものを着用させるのも面白かった。

私の捉え方では「確かに島中を見て回るのも結構だとは思うが、ヌサドアのようなリゾート地内にいて、綺麗なホテルで美味い物でも食べて、美しい海でも眺めてノンビリと過ごせば、オアフ島なので買い物だのワイキキビーチだのと田舎者の如くに動き回っているよりも寛げるのではないかと思うのだ。私はオアフ島のホノルルには出張と遊びで2度しか行ったことがなかったが、ワイキキで「ローレックスの偽物があるよ」と声をかけられたのが忘れられない。そういう方面の裏事情では、バリ島の方が上(下?)かも知れないが。