新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

久しぶりにサッカーを語ろう

2024-12-09 07:36:55 | コラム
ヴィッセル神戸対湘南ベルマーレの優勝決定戦観戦記:

解説者(秋葉さんと言ったか)が「こんなに良い試合は滅多に観られない」と少し興奮した口調で語っていたのは、将にその通りだったと思う。ベルマーレは確か2部転落ギリギリのところだったと思っていたので、優勝しそうなヴィッセルは、古い言葉を使えば「鎧袖一触」するだろうかと思っていたので、優勝して喜ぶところを見ようかと観戦した。

ところが、ベルマーレは「これがそんなに弱いティームか」と、大袈裟に言えば驚嘆させてくれたほど「良いサッカー」をやって、ヴィッセルと対等に試合を展開して、苦戦させていた。特に「あれだけ走ってしまえば、90分間も体力が続くか」と心配になったほど、前線では寄せも早く、大迫や武藤や酒井を思うように動かさなかったし、ディフェンス陣もヴィッセルに「形」を作る余裕を与えなかった。

特に、大迫と武藤への激しい当たりとマークは徹底していて、「負けて堪るか」と「目の前で胴上げなど見ないぞ」という気迫に満ち溢れた試合振りだった。とても、最下位争いをしていたサッカーとは見えなかった。さらに、ベルマーレは「平塚」と称していた頃からの弱体ぶりを観戦した事があったので、「変われば変わるものだ」とひたすら感心していた。

片方の神戸は「此処でリーグ優勝というか連覇を決めてやろう」との意欲が思わぬと言うか、ベルマーレの正統派のサッカーを展開する善戦健闘に出くわして、やや持て余している気配すら感じた。特に前半には良い形が出来て得点したかと思えば「無情」のオフサイドフラグが上がっていたりして逸機が続いた。この辺りまでは「どっちが優勝しようとしているのか」と見えたほど五分五分の試合展開。

この辺で得意の故篠竹幹夫監督の言葉を引用しよう。「選抜という寄せ集めティームよりも、1年365日同じ釜の飯を食って暮らしている単独ティームの方が強力なのは当たり前」なので、昨日の試合は同じ釜の飯を食った者たちが一丸となって意欲と意地を発揮して競り合ったのだから、手に汗握る良い試合振りは当然。滅多に褒めないこの私が「良い試合で、観る者を楽しませてくれて有り難う」と礼を言いたくなった試合だった。

ヴィッセルは高い組織力と個人技に加えて「勝とう」との気迫に満ち溢れ、ベルマーレは「勝たせてなるものか」との気合いが凄い当たりと素早い寄せで神戸の選手たちを思うように動けないようにしていたし、ロングシュートにも「点を取ろう」という意欲を見せていた。

同じティームであれば意志が通じるので、代表ティームのような、後方と横への責任逃れと無意味なパス展開がなかったのも気持ちが良かった。あのような試合展開ならば、サッカー観戦で興奮できると思う。

終わりに、言わなくても良いような事を。日本代表の森保一監督にあのヴィッセル神戸を指揮させたら、久保建英などを使うだろうか。あれだけの意欲に溢れた積極的なサッカーをさせるだろうか、無闇矢鱈に後方へのパス展開を許すだろうかという事。