甲子園ボウルと女子の皇后杯全日本バスケットボール:
悲しかったというか、何ともやるせない思いに駆られたことはと言えば、NHKの扱い方では甲子園ボウルがBSで、バスケットボールは地上波だったという事実。折角、産経新聞が大きく扱ってくれていても、フットボールは未だ未だ我が国では「マイナースポーツ」扱いだとあらためて認識させられた。言いたくはないが、アメリカでは最高の人気を誇る球技だぜ。
甲子園ボウル(矢張り西高東低だった):
実は、今年では最初で最後のことで、テレビ観戦であっても、大学のフットボールを始めから終わりまで手に汗握らないまでも、じっくりと見る機会となった。今回が初めての企画だという全国の大学リーグの優勝と3位までの上位校が参加するトーナメントの決勝戦が甲子園ボウルで、関西の立命館大学パンサーズと関東の法政大学オレンジという1位校の対決になっていた。
矢張りと言うか何と言うか、甲子園のスタンドには空席が目立った。日大フェニックス対関学ファイターズの対戦ではないと、関東よりも遙かに関西での人気が高いフットボールの試合でもこうなってしまうのかと、痛感させられた。
結果としては、立命館大学パンサーズが法政大学オレンジを、キャプテンの山嵜を中心にしたラン攻撃で圧倒して9年振りと知らされた優勝となった。ご存じではない方も多いかと思うので、念の為に記しておくと「悪質タックル」とやらいう誤解と誤認識の塊だった事件で衰退した日大フェニックスを3年目に甲子園ボウルに導いた監督の橋詰功氏は、立命館大学パンサーズのオフェンスコーチだったのだ。
パンサーズとオレンジについては殆ど予備知識無しの観戦だった。フットボール界では「西高東低」と言われている関東のリーグから2年連続で出場したオレンジが何処までやれるのかに興味があった。これまでに数多くの甲子園ボウルを見てきたが、この試合ほど拮抗したゲームを見た記憶がなかった。だが、一度もリードを許さなかったパンサーズの勝利は順当だったと評価する。
NHKはこの試合を何年も続けてBSで中継放映してくれている。
皇后杯バスケットボール(移籍の自由):
準決勝戦から決勝戦も見ていた。そこで初めて見た「アイシン」には全日本代表の中心選手だったが、故障でオリンピックに出られなかったENEOSの渡嘉敷来夢がいたのに驚かされた。冷静なる評論家と自称していても、残念な方選手たちの移動にまでは気が回っていなかった。渡嘉敷の他にも日本代表でENEOSのPGだった吉田亜沙美も移籍してきていた。
この決勝戦は甲子園ボウル終了後でも間に合ったので、3Qから観戦するとアイシンがリードしていたし、渡嘉敷が長身を活かしてシュートを決めていたので、対戦相手のオリンピックで大活躍したPGの町田瑠唯がいる富士通には勝ち目がないかと思ってしまった。
だが、その閃きは全く見当違いで、4Qに富士通が陳腐な言い方で恐縮だが、怒濤の攻撃でひっくり返して、10点差で勝ったのだった。渡嘉敷効果も及ばずと言うところか。
ここでも痛感したことがあった。それは、このアメリカが発祥の球技ではBリーグでもWリーグでも、選手たちのティームの移動が頻繁に行われている点だ。サッカーのJリーグでもヨーロッパ式に移籍する者が多い。例えば、今シーズンのJリーグ優勝の神戸ヴィッセルにいた扇原貴宏も山口蛍も、元はと言えばセレッソ大阪の中心選手という具合。
こういう自由というか活発な選手の移動の流れ(規約の違いなのか)を見ていると、NPBの9年か10年経たないとFAになれないというのか、移動を規制するかのような決まりがある点は、MLBと比較しても選手にとっては不自由で堅苦しい気がする。渡嘉敷来夢級の選手が移動すれば、アイシンが初めて準決勝を突破して決勝戦にまで進出できたのだった。
話の筋が変わるが、結びに「NPBではMLBから出戻れば元はファイターズの上沢直之のようにホークスと契約してしまえるのは、何となく時代遅れであるかのように感じる」と言っておこう。