新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

トランプ大統領の批判は

2025-02-13 06:58:09 | コラム
許されざる所業なのか:

トランプ大統領の第一期の頃のことだった。私は「知は力なり」を捩って、トランプ氏の言動を「無知は力なり」と非難したことがあった。それに対して、メル友の一人だったYO氏は「日本はアメリカの庇護の下にあるいわば妾である。その日本国民が守ってくれているアメリカの大統領を批判するなどは許されざる所業である」と厳しく非難し攻撃してきた。

それはそれとして、この妾論は故田久保忠衛氏が産経新聞の「正論」で明快に指摘しておられたこと。長い年月アメリカの大手製造企業に所属していた私が、アメリカのビジネスマンたちが見ていた日本国は精々「子会社」扱いであって、尊敬すべき点は怠りなく尊敬して取引していた。だから、田久保氏の説には違和感を覚えていた。

その、ドナルド・トランプ氏が返り咲きの当選を果たし、「MAGA」と「アメリカファースト」を真っ向から振りかざして華々しく再登場された。その強硬姿勢は4年間の雌伏の間に一層磨きがかかって、就任と同時に言うなれば無数の大統領令(executive orderの訳語だ)を発出された、イヤ署名された。石破首相の初めての首脳会談でも「虎の尾を踏む」ことなく平穏無事に終わった。

トランプ大統領の再任以来早くも3週間を経たが、政界や専門家や評論家やマスコミ等々の間で、トランプ大統領の思い切った政策(?)や行動に対して「畏れながら申し上げます」的な非難や批判は公式には表れていないと思う。誰も敢えて「虎の尾を踏もう」とは思わないからだろう。

ところが先週、湯治先で読んだ「週刊文春」の2月13日号で町山智浩氏はその連載のコラムの「言霊USA」で、明確にトランプ大統領批判を、大統領が参加された国立大聖堂の礼拝で「今この国で恐怖におびえている人々に慈悲をお与えください」と語りかけられたマリアン・ハデイ主教の説教を引用して展開していた。「週刊文春はこういう事もやるのか」と非常に印象的だった。

その全文を引用する気はないが、要点をいくつか取り上げてみれば「自国民を豊かにするために関税を課すると言うが、関税を払うのは外国ではなくアメリカの輸入業者だ」という指摘に始まり、「何百万もの犯罪を犯した(原文のまま)外国人を出身地に送還すると言うが、何百万人もいないよ」と遠慮がない。

更に、「就任後,デタラメに基づいた大統領令の数々を一気に署名した。これはアメリカの国是である自由と平等を否定するものばかりだ」と指摘し、「政府のDEIプログラムの廃止、女性や少数民族、障碍者、LGBTを積極的に採用する方針を中止」という具合に続くのだった。

未だ他にも幾つか取り上げられているが、ここまででも十分だろう。故田久保忠衛氏は許さないだろうが、文春も町山氏も度胸があるなと感心した。私は「トランプ政権の出方が如何なる結果を生じるのかを見守っていこう」という程度しか言えないほど度胸がないので悲しい。

そこに、本日の産経新聞の社説には「米の独善に毅然と対処を」と掲げて、「同盟・同志国との関係も顧みず、自国第一の保護主義に突き進むトランプ米政権の乱暴な動きを懸念する」から入っていた。心ある人ならば、このように案じるのは普通のことだろうと思う。だからこそ、私は「トランプ政権の出方が如何なる結果を生じるのかを見守っていこう」と上記したのだ。

事ここに至れば、前任期中には「トランプ氏がやることはunpredictable(予測不可能)だ」と言われていたが、今期ではトランプ政権の政策が如何なる結果を生じるのかの方が“unpredictable”になったのではないのか。


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