DeNAが7点差を逆転した面白さと痛快さ:
私は昭和20年(1945年)に中学1年生で蹴球部に入った、言うなれば筋金入りのサッカー人であるはず。だが、これまでに何度も「見るスポーツとしてのサッカーは、残念ながらベイスボール(発音記号通り)には及ばない」と認めるような事を言ってきた。物書きを始めた頃に「野球はその辺の草野球でも結構見ていて楽しめる性質だが、サッカーは余程競技そのものに精通でもしていない限り、点が入らなくて見ていても詰まらない」となってしまう。
その野球の面白さを、昨日のDeNA対阪神の試合で「これこそ野球観戦の醍醐味か」と感じさせられた程味わった。NHKがBSで中継していた事に気が付いていなかったので、Yahooニュースで阪神が3回までで9対2と圧倒していると知ってPCを切ってテレビに向かった。正直な事を言えば「また、DeNAが雑な試合をやっているのか」と思っていたが、何故か何となく「DeNAがひっくり返すのでは」と閃いてきた。
いざ試合を観れば、阪神は伊藤将司を先発に起用していたので「もしかすると、ひょっとするかも知れない」と見た。それは今年の伊藤は昨年程の切れ味がなく、先頃も1回に乱打されて交代させられていた記憶があるし、解説の藤川球児も「全般的に高めに浮いている」と指摘していた。果たせるかな5回に強打者でもない京田陽太に風に乗せた満塁の2塁打までで5点も取られてノックアウトとなった。
実は、5回にはこの満塁の好機に不思議な事に「左対左の場面だが、京田でも何とか出来るのかも知れない」という気がしたかと思えば、ライトの頭上を越す大フライボールを打って走者一掃にして見せたのだった。解らないものだと思った。でもその後に、DeNAはノーアウトで伊藤光が二塁打を打ちながら無為。さらに一死一三塁で京田がダブルプレーに討ち取られるなど、2点差の儘だった。それでも「逆転があるかも」と閃いていた。
8回の裏に岡田彰布監督は安全策を採ったのだろう「走者を出しても失点をしない左投手」の岩崎優を出してきた。そこで走者を置いて準レギュラーでもないような蝦名達夫が出てきた。藤川球児は何度か「左投手から10打数6安打で得手としている」と繰り返した。当方は閃きというか「ここで蛯名がホームランを打てれば同点だが」と考えていると、センターオーバーの物凄いホームランを打って一気に同点とした。「なる程、こういう形でDeNAは追いつける事だったか」と感心した。
ところが、その後に4打席凡退の筒香嘉智が「ゴーゴー筒香」の応援歌に乗って登場。閃きは「もしかすると、ひょっとすると、ホームランでも打ってしまうのかも」と来ていた。モメンタムを掴んだ勢いは凄いもので、NPB有数の左投手岩崎から筒香は打った途端に確信の表情で右手を突き上げる動作をして走り出した。球の飛んだ方向を見なくても解る大ホームランだった。即ち、10対9と引っ繰り返しに成功したのだった。
話はここで終わらなかった。「4番の牧秀悟も打てばなお一層面白いな」と期待した瞬間に、替わって出てきた岡留から鮮やかなホームランを左翼席深くまで打ち込んだのだった。藤川球児は「牧の4番打者の誇りと意地が打たせたホームラン」と賞賛した。「閃き」とは言ったが「こういう展開になれば面白いのだが」との希望的観測が全て実現してしまった、何とも言えない面白さと感動を充分に味あわせて貰えた凄い試合だった。
このように一度モメンタムに乗ったら凄い試合をして見せてくれるのが、DeNAのDeNA足るところなのだ。5点を取り返した後に2度も絶好のチャンスを逃して「もう駄目かな」と思わせても、岩崎優程の投手から2人続けてホームランという、2度と出来るかなというような離れ業をする所が魅力だろう。そこにもう少しで良いから緻密な試合展開が出来るようになれば、阪神も読売も蹴散らして優勝出来るかも知れない。
すると、今永昇太がアメリカに行ってしまった穴を埋めるのが焦眉の急だろう。残すは三浦大輔監督の力量(器量)なのかも知れない。何れにせよ、野球の面白さを存分に味わえたし、「閃き」が外れなかったのも快感だった。見方を変えれば「アメリカ発祥の競技の方が英連合王国からでたサッカーよりも面白く観戦出来るのが国民性の違いかな」となる。ではあっても、阪神を引きずり下ろして5月と雖も読売を首位にしたのは遺憾だ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます