ワイン生産者たちは、新規であれば日本市場での販売を求め、すでに日本に輸出されている場合は友好な関係が続くことを願い、日本にやってきます。
そんな彼らと、1年間でいったい何人とお目にかかるでしょうか?
お会いした生産者は、できる限り紹介したいと思っていますが、なにぶん、次から次へといらっしゃるので、紹介しそびれてしまった方々もたくさんいます。
そこで、そんな生産者をプレイバックして紹介したいと思います。
まずは、2017年10月に来日したイタリア・ピエモンテ州の生産者です。
バルバレスコの「マルケージ・ディ・グレジィ Tenute Cisa Asinari dei Marchesi di Grésy」の現当主アルベルト・ディ・グレジィ氏の息子であるアレッサンドロ・ディ・グレジィさんが来日し、自慢のバルバレスコをはじめ、白ワインも含めたバラエティ豊かなラインナップを紹介してくれました。
アレッサンドロ・ディ・グレジィさん
マルケージ・ディ・グレジィは、12世紀から続くトリノの貴族を祖先に持つ名家が運営するワイナリーです。
先祖の中には、歴史に名を残す著名な人物もいたそうです。
本格的なワイン造りをしようと、アルベルトさんがマルケージ・ディ・グレジィを創立したのは1973年のこと。
それまでは、ブドウは他のワイナリーに売っていました。
所有する畑は、バルバレスコ村マルティネンガ、トレイゾ村モンテ・アリバルト、カッシーネ村モンテ・コロンボとラッセッラの4カ所にあり、すべての醸造はマルティネンガの醸造所で行われています。
「マルティネンガ」はグレジィ家が1797年より単独所有する畑です。
バルバレスコで単独所有されている畑は、唯一グレジィ家のマルティネンガだけです。
当然、マルケージ・ディ・グレジィの代表ワインは、「バルバレスコ・マルティネンガ」です。
マルティネンガには3つのクリュがあり、良年にしか造られない「カンプ・グロス」、「ガイウン」が、マルケージ・ディ・グレジィのツートップキュヴェです。
右から)
Marchesi di Grésy Martinenga Barbaresco DOCG 2008
Marchesi di Grésy Camp Gros Martinenga Barbaresco DOCG 2007
Marchesi di Grésy Gaiun Martinenga BarbarescoDOCG 2011
区画の東側にあるカンプ・グロス(約280m)の方が、区画の西側にあるガイウン(約270m)より標高がやや高く、畑の向きもカンプ・グロスは南西向き、ガイウンは南向き、となっています。
これらの差が、味わいの違いを生み出すことに気付いたアルベルトさんが、カンプ・グロスは1978年から、ガウインは1982年から、良年に限り、単一クリュのバルバレスコを造っています。
クリュの場所から考えると、カンプ・クロスの方がタンニン分が多くて厚みがあり、ガイウンの方がのびやかなスタイルになりそうですね。
ほかに紹介してくれたのは…
右から)
Marchesi di Grésy Barbera d'Asti DOCG 2014
Marchesi di Grésy Martinenga Langhe DOC Nebbiolo 2016
バルベーラ・ダスティは、アレッサンドリア県カッシーネ畑のバルベーラを、伝統的な醸造方法で仕込んでいます。
ジューシーな果実味と酸味が魅力な、フードライクな赤ワインです。
マルティンガ・ランゲ・ネッビオーロは、マルティンガ畑の若い樹齢の木のブドウや、バルバレスコにならなかったワインです。
とはいえ、銘醸畑マルティンガのネッビオーロを使っていますので、コスパのいいワインといえるでしょう。
白ワインもありました。
左より)Marchesi di Grésy
Grésy Chardonnay Langhe DOC 2014 / Sauvignon Langhe DOC 2016
この地では珍しいソーヴィニヨン・ブランは、バルバレスコ村(1.8ha)とトレイゾ村(0.98ha)の畑からのブドウです。
発酵も熟成もステンレスタンクで、熟成はオリと接触させるシュル・リーです。
シャルドネのブドウも、バルバレスコとトレイゾからで、標高230~370m、南向きの畑です。
ステンレスタンクで発酵、フランス・アリエ酸バリック(新樽+2年目樽)、熟成22カ月と、バリックを使っていますが、品よく仕上げています。
いずれのワインも2年前に紹介してもらったものなので、ヴィンテージが少し古いですが、今なら現行ヴィンテージは+2年と考えてください。
イタリアの最高峰ワインは、バローロかバルバレスコか、ブルネッロか?
もうずっと言われていることですが、私は、造り手によるのでは、と思います。
また、その時の気分、体調、飲む相手、食べ物、シチュエーション、季節などでも、ワインの印象は変わってくるでしょう。
当然のように、バルバレスコの中でも素晴らしい生産者がたくさんいます。
その先は、好みになるかもしれませんが、バルバレスコで単一畑を単独所有しているのはマルケージ・ディ・グレジィだけですので、造り手の個性がより感じられるバルバレスコとして覚えておくと、これからのバルバレスコの飲み比べがより面白いものになるに違いありません。
※輸入元:大榮産業
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