新型ウイルス感染者数の激減&緊急事態宣言解除、ということから、ワインの試飲会もどんどん増えてきました。
国単位の大きな試飲会もあり、スケジュールが重なったり、体調不如意で行けなかったり、なのですが、できるだけ参加したいと思っています。
今回取り上げるのは、先週開催されたチリワインの試飲会です。
チリワインに関しては、皆さん、それぞれイメージを持っているかと思いますが、国際ブドウ品種のワインはちょっと横に置いといて、今日はぜひこちらを覚えてください。
それは、Pais -パイス種
スペインのキリスト教宣教師が、キリスト教布教のために16世紀にチリに持ち込んだブドウ品種です。
生命力が強く、収穫量も多いことから、どこでも繁殖し、チリ全土に広がりました。
当時のことですから、質より量が重要なわけです。
時代が新しくなるにつれ、国際市場で求められるワインを造らねば、となった時に、旧来のパイスのワインでは太刀打ちできません。
そうした時代背景から、パイス種はだんだんと廃れていきます。
しかし、現代は、その土地らしい地場品種に注目が集まっています。
チリはカベルネ・ソーヴィニヨンで成功しましたが、今こそ原点に戻るべきでは?と考えた生産者も出てきました。
その原点のひとつが伝統品種「パイス」を使ったワインです。
実は、試飲会場に入ってすぐに目に飛び込んできたのが、こちらのパイスのワインでした。
Pais Salvaje / Viejo Bouchon Family Wines(Chile)
生産者は、フランスからチリに1887年に入植したブションファミリーの3代目。
1970年にマウレ・ヴァレーに畑を購入し、ワイン造りを始めました。
左の2本が「Pais Salvaje」(パイス・サルヴァヘ)、右が「Pais Viejo」(パイス・ヴィエホ)。
まずは、Pais Salvaje。
「Salvaje」(サルヴァヘ)は「野生」という意味で、その名前の通り、森の中に野生の状態でワサワサと生えています。
高さ5m。収穫はハシゴを使い、当然ながら手摘み。
写真を見ると、ブドウを収穫しているようには見えないですよね?
左)Pais Salvaje White Maule Valley 2019
右)Pais Salvaje Maule Valley 2018 / Bouchon Family Wines
パイスは赤ワインだけだと思っていましたが、左のパイスは白ワイン!
突然変異で、色が付かないパイスができたようです。不思議~
野生状態なので、100%有機栽培。
天然酵母でステンレス発酵させ、無濾過、無清澄。
人の手をかけていないだろうなぁと感じさせる、ピュアで無垢な、素朴な野性味を感じさせる白ワインでした。
右の赤ワインの方は、30%を全房、70%を除梗し、天然酵母でコンクリートタンクで発酵させています。
こちらも100%有機栽培、無濾過、無清澄。
赤の色調は淡めで、濃厚タイプではありませんが、国際品種にはない素朴な個性があり、滋味深く、興味深い味わいです。
白も赤も、希望価格2,500円(税別)
チリは1000円台でも優秀なワインがたくさんありますけれど、あえての原点回帰ワインで、世界で唯一無二の存在、それが2,500円なら、試してみたくなりませんか?
もうひとつのパイスが、Viejo-古樹。
Pais Viejo Maule Valley Bouchon Family Wines(Chile)
Salvajeが野生樹なのに対し、Viejoは人間が植樹した畑の100年超の古木のブドウの赤ワインです。
こちらも天然酵母でコンクリートタンクで発酵、軽く濾過して瓶詰しています。
サルヴァヘよりもピュアな感じがあり、重心が上で軽快なスタイル。
スクリューキャップで扱いやすく(上のサルヴァヘの2本はコルク栓)、希望小売価格も1,500円(税別)とライト。
パイスの入門編として選ぶにはもってこいだと思います。
チリはお手頃価格のカベルネやシャルドネなどがたくさんあり、もちろん、それらを飲んでもいいですが、いま選ぶなら、地理の原点回帰の「パイス」でしょう!
※輸入元:WINE IN STYLE
[参考]
2021年の注目ワインはローカル品種ーチリワインの例
https://blog.goo.ne.jp/may_w/e/8f5f0e1b6c94bbc6c589377aaf95adbc
(パイス種のワインを色々と紹介しています)
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