杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

頑張れ!下田新市長

2012-06-18 19:12:36 | しずおか地酒研究会

Img092
 昨日(17日)、下田市の新市長に無投票当選した楠山俊介さん。つい先月、下田黒船祭の取材に行った時、選挙前のお祭り時期は挨拶回り等で忙しいのにギリギリまでつきあって一緒に飲んでくれた素敵な先輩酒友です。

 

 立候補すると聞いたときはビックリしたけど、長年、市民の立場で下田の街づくりや観光振興に手弁当で尽くしてこられたその思いが、正真正銘ホンモノだったんだなあとじんわり感動しました。

 

 

 

 地域でいろんな発言をする人は多いけど、政治家になる選択をするというのは、並大抵のことではありません。特定の政治家を応援するのも、何か特殊な色眼鏡で見られる・・・そんな土壌がありますよね。でも支持する政治家がいない、投票に行かないという有権者が、今の政治を作っているんだと思います。その意味でも、知っている人が立候補するというのは、自分たちの手で政治をよくするチャンスが廻って来たと思わないといけませんね。

 

 

 

 それはさておき、楠山さんとの出会いはかれこれ12~13年前にさかのぼります。2000年に伊豆新世紀創造祭という観光イベントが伊豆全域で開かれ、下田市では料理と器をテーマにした『下田テイスティ・アート』というプログラムが企画されました。

 

 私はこのプログラムにしずおか地酒サロンをぶつけようと、下田市の植松酒店さんはじめ、しずおか地酒研究会会員や静岡県ニュービジネス協議会東部部会員、静岡新聞社・伊豆新聞社関係者何人かを巻き込んで、国際ラリーライダー&エッセイストの山村レイコさんを囲む『下田温泉・地酒夜話』という宿泊サロンの開催にこぎつけました。12年前の写真です。レイコさんはこの頃とちっとも変らず今もおキレイですよね! 正雪さん、喜久醉さん、初亀さんは若いなあ・・・

Img093

 

 

 このとき、下田テイスティ・アート実行委員会側で尽力してくれたのが楠山さんでした。名刺を見たら歯科医とあり、観光イベントのボランティアをやっても直接メリットがないのに、ずいぶんフットワークのいい歯医者さんだなあと思いました。

 「スズキさんも、酒のイベントやっても自分の儲けはないでしょ?好きでやっているんでしょ?同じだよ」とニコニコしながら楽しそうに飲む、そのエビス様みたいな顔が印象的。でも行政に対しては、ちゃんとモノ申す人でした。

 

 

 

 その後も、下田でちょこちょこ地酒講座や『吟醸王国しずおか』パイロット版試写会をやるたびにいろんな人を集めてくれました。下田の観光記事を書くときも、急に連絡してもパパッと資料を用意してくれて、こんな人が行政にいたら下田の行政サービスは向上するだろうなあと思っていました。・・・でもまさか市長になるとは

 

 もちろん政治・行政経験ゼロの楠山さん。これからいろいろな場面で苦労されると思いますが、そんなことはご本人も承知の上。傍から見たら苦労に見えても、本人は屁とも思わないかもしれません。民間出身の首長に求められるのは、生半可な知識やテクニックではなく、人間力やコミュニケーション能力なんだろうし、それは、楠山さんが最も強みとしていることだろうと思います。

 新市長に過度な期待は禁物かもしれないけど、でも、チェンジしてほしいし、楠山さんなら何かやらかすはず・・・!と心から願っています。


徳川家康の洋時計調査報告

2012-06-17 10:37:17 | 歴史

 昨夜(16日)は駿府静岡からくり時計実現会議の今年度総会がありました。こちらの記事でも紹介したとおり、徳川家康がスペイン国王Photo
から贈られた洋時計。保管責任者である久能山東照宮の落合偉洲宮司が、イギリス大英博物館の時計部門責任者を招いて分解調査を行ったそのいきさつについて、落合宮司から直接報告をうかがいました。歴史好きにはたまらない内容でしたよ!

(写真は静岡市美術館開館記念『家康と慶喜~徳川家と静岡展』図録からコピーしました)。

 

 

 

 

 昨年の国宝指定以来、参拝者が前年より10万人ほど増え、38万人を超えたという久能山東照宮。一過性のブームで終わらないよう、次はなんとかこの洋時計を国宝に・・・との思いで、文化庁に打診をしてみたものの、「(国宝指定には)後世に何らかの影響を与えた功績が必要。この時計は東照宮の宝物庫にずーっと眠っていたので可能性は薄い」と門前払いだったそうです。

 

 

 

 県内で国宝指定になっている美術工芸品11件のうち、5件は刀剣類。これは刀剣類の専門家がたくさんいて、しっかりとした調査報告書が作られ易いという背景がある、と見て、落合宮司は洋時計の専門家、しかも文化庁がナットクするような超一流の専門家にちゃんと調査してもらおうと奔走します。

 

 そして、ヨーロッパ古時計の研究では大英博物館の研究員が世界一だとわかり、知人のつてで大英博物館時計部門責任者で上席研究員のデビッド・トンプソン氏を招聘することに。ちなみに大英博物館には8000台もの貴重な古時計を所有しているそうです。

 

 5月15日に来日し、2日間、調査を行ったトンプソン氏のことは、テレビや新聞で大きく報じられたので、ご覧になった方も多いと思います。

Img081

 夕べは、報道では伝えきれなかったトンプソン氏の言葉を、落合宮司がいろいろとフォローしてくれました。

○革張りの専用ケース(収納箱)と本体が当時のまま両方揃っているのは奇跡的!

 

○専用ケースには取っ手が付けられていた形跡があり、日本の研究家はトラベラーズクロックでは?と解釈していたが、トンプソン氏曰く「国王の時計は、置時計ではなく、王宮内で国王が移動するたびに帯同していた。王宮内で使われていたものに相違ない」。

 

○時計というのは、故障すれば修理に出して部品交換するので、制作時の形が完璧に残ることは有り得ない。原型を探る際は、想像を膨らませ、仮説を立てるしかなかったが、この時計は99%原型を保っている。ヨーロッパの時計発展史を研究する上で極めて大きな発見。久能山の宝物庫で長く眠っていたおかげ。

 

○国王の時計らしく実に丁寧な作り方。ネジを巻くと27時間動き、1時・2時・3時の時報とめざましの鐘が鳴るしくみ。1日に30分程度の誤差があったかもしれない。

 

○完璧な作りだが、本体の扉に微妙なすき間があった。作者がここだけ手を抜いたとは考えられず、のちに、蝶番を付けて扉を開閉できるよう改良されていたようだ。これは1611年に日本に贈られる以前のことで、時計の価値そのものを損なうものではない。

 

○1581年にマドリードでハンス・デ・エバロ(宮廷お抱え時計技師)が製作したとプレートにある。エバロ作の時計は1583年製、1585年製のものがスペインに現存している。この2つはデザインや構造が似ているが、家康の洋時計だけはまったく異なる。しかも家康の時計のほうが作られた年は古いのに高性能。ひょっとして別人の作か?

 

Photo_3
○「エバロ作」というプレートは上から被せられた形跡がある。X線調査をすれば本体に刻まれた本来の作者名が出てくるのでは?

 

○別人の名前が出てきたとしても、時計の真価は変わらない。しかも今でもちゃんと動く。大英博物館にある8000台の古時計と比べても、トップクラスの価値。

 

 

 調査結果はトンプソン氏が論文にまとめ、ヨーロッパの学会で発表し、日本語で翻訳したものは文化庁に提出される予定です。この翻訳作業を買って出たのが、4月に国立科学博物館で「田中久重の万年時計」解説をしてくださった佐々木勝浩さん!(こちらを)。なんと、若かりし頃、大英博物館に研修に行かれ、トンプソン氏と交流をお持ちだったそうで、「彼の論文を翻訳できるのは光栄だ」と快諾してくださったとか!不思議なご縁ですね・・・。

 

 それにしても、文化庁の「ずっと蔵に眠っていたから価値なし」、大英博物館の「ずっと蔵に眠っていたから価値あり」という、あまりにも対極的な反応・・・実に面白い! 場合によっては国宝どころか世界遺産になるかもしれないんですよね・・・。

 世の中には、別の角度から見れば黄金になるモノがたくさんあるのかもってワクワクさせられました。当事者から話が聞けない昔のモノや出来事を解明するとき、改めて「複眼」の視点が大切だって実感します。

 

 

 

 

 久能山東照宮の宝物庫に眠っていた洋時計は、1910年にイギリスで開催された日英博覧会に出品され、ヨーロッパに里帰りをしました。当時はたぶんインド洋から南アフリカ喜望峰を回って大西洋へ出てイギリスへ渡ったと思われます。落合宮司は、「この時計はスペインで生まれ、メキシコを経由して太平洋を渡って日本にやってきた。インド洋経由でイギリスへ行ったのなら地球一周したわけです」とロマンたっぷりに締めくくってくれました。

 

 

 駿府静岡からくり時計実現会議、次回は7月14日13時30分から、あざれあで、なぜか私が4月の東京視察会について報告をさせていただくことになりました。ブログ記事を見たという事務局からの依頼で断るわけにもいかず・・・ 誰でも参加できますので、興味があったらぜひいらして下さいね!近くなりましたら、詳細をお知らせします。

 

 


駿府いなりふたたび

2012-06-16 08:39:06 | 地酒

 夕べ(15日)は私が敬愛するカッコイイお姉さま2人としっぽり飲みました。上川陽子さんと平野斗紀子さん。ともに静岡の街を魅力的にしようと、それぞれのフィールドでしっかりした仕事をされています。お2012061520060000
せっかいな私は2人をちゃんとつなげたくて、「まずは一杯飲みながら」とお誘いしたのです。

 

 

 場所は『すし市』。3人ともご縁のある(=わがままがいえる?)お店です 2012061517590000

 

 運のいいことに、私たちのすぐ後に来た常連さんが、「さっき用宗沖で釣ってきたばかり」という堂々のヒラメを持参し、すし市の大将井木さんにさばいてもらうことになって、そのおこぼれに預かることに。釣りたてのヒラメをすりおろしの生わさびでいただく・・・う~んなんてゼイタク!! いつもスーパーで買う切り身のヒラメとは全然違って、身がプリプリもっちりしています。これぞ駿河湾の幸

 

 

 

 さて、陽子さんは地産地消の商品化やイベントプランのアイディアウーマンで、農業情報に精通する平野さんに助言を求めていました。

 平野さんは「たまらん」の企画で市井の職人さんをリサーチ中。お顔の広い陽子さんから有意な情報をもらっていました。

 

2012061520050001
 で、私はカウンター奥のすみっこに座って、脇にある酒の冷蔵庫の國香、喜久醉、磯自慢、初亀をかたっぱしから飲んで一人でイイ気分になっちゃって、途中から2人の会話より脱線(苦笑)。

 

 

 2012061518400000

 小腹が空いてきた頃合いを見計らって、井木さんが『駿府いなり』を作ってくれました。

 このおいなりさんについては、昨年の記事(こちら)で紹介したとおり、グルメイベント用にこだわり食材で開発したもので、私が描かせてもらったイラストパッケージに包んでイベント限定で販売し、当日私自身は参加できなかったのですが、結構売れたみたいです。

 イベント単発企画で終わるのはモッタイナイ魅力的な商品だったので、どうにかして通常商品化できないかなあ~と、カウンターの外で勝手に盛り上がっています。

 

 

 おいなりさん、最近、改めてハマっています。美味しいおいなりさんをご存知でしたら教えてくださいまし!


浜千鳥さんのメルマガ

2012-06-15 12:31:35 | 地酒

  昨年、東北復興支援の一環で静岡酒と東北3県の地酒をコラボさせた試飲パーティーを委託運営しました(こちらを)。そのとき、岩手から取り寄せた浜千鳥さんから、定期的にメルマガをいただくようになりました。一時的に盛り上がった震災復興支援ですが、こういうことはエンドレスの覚悟で取り組まなければいけませんね。つい先ほど届いた内容をコピペします。岩手にご縁のある方はぜひ参考になさってください。

 

 

浜千鳥メールマガジン 【 浜める 】

第66号 2012年6月
自然とひとつになった酒造り

< 浜千鳥  仙人郷>醸造元
株式会社 浜 千 鳥 HPはこちら

 

 

浜千鳥では「自然とひとつになった酒造り」を蔵の姿勢と維持し、
地域の食生活と共に喜んでいただける趣を醸し出したいと考えて
おります。また、浜めるを通しての情報発信とお客様とのコミュ
ニケーションを目指しております。
このメールマガジンは三陸釜石の潮風に乗せてお届けしております。
===================================================================

 

いわてディスティネーションキャンペーンの一環として、6月の第1
土日から3週にわたり、週末はJR釜石線にSL銀河ドリーム号が走っています。黒い車体がもうもうと黒煙をあげ、高らかに汽笛を鳴らして
走る姿を、大人も子供も線路沿いに立って今か今かと待つ姿が多く
見受けられました。被災地に希望を運ぶSLに勇気をもらった気がします。
詳細はこちら

 

さて、今号の浜めるは盛岡市でのイベントのお知らせと浜千鳥スタッフが
交代でおくる新連載「蔵便り」などです。
今号も浜めるを宜しくお願いします。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
♪ 新着情報 ♪

【 なないろの会~七夕の夜空と日本酒と。 】

7月7日の七夕の日に盛岡市大通りの「ヌッフ デュ パブ」さんで
『なないろの会~七夕の夜空と日本酒と。』というお酒の会が開かれ
ます。被災した酒蔵と復興に頑張っている東北を元気づけよう!とい
う思いで昨年より開催され、今年も岩手・盛岡から飲食を通じて元気
を発信しよう!と第2回が企画されました。

当日は東北各地の蔵元が集まり、美味しい日本酒を皆さんに味わってもらいます。皆様のご参加をお待ちしております。

◆ 開催日時
  平成24年7月7日(土)午後7時

◆ 参加費
  前日までの予約 5,000円 当日6,000円

◆ 会場
  「ヌッフ デュ パブ」
  盛岡市大通り2-4-22盛岡サンライズタウン4F

◆ 定員
  100名(先着順)

◆ 主催・お申し込み先
  ヌッフ デュ パブ tel:019-651-5050 HPはこちら
  

◆ 共催 「酒のかんりょう」「吟の酒 きぶね」「坂本商店」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ 蔵便り ☆

【 営業部より 市内配達中 】

こんにちは!初めまして。日々、釜石市内の酒屋への配達や注文
取りをしている営業部の三上です。

みなさんにお勧めするこの時期の浜千鳥のお酒は、冷やした本醸造
生貯蔵酒です。合わせる肴は新鮮なイカのお刺身。薬味には大根
おろしを添えて食べて下さい。美味しいですよ。

いつもは釜石市内を白いトラックで配達しています。
盛岡や北上でのイベントにも参上しますので、宜しくお願いします。

 

【 復興釜石新聞より 釜石市民絵画教室「復活展」 】

釜石市民絵画教室の「第33回わたくしたちの絵画展」が先日、3日
間開かれました。前回は大震災が発生した3月11日が初日でした。
会場の市民文化会館1階展示室が被災し、作品は津波で泥にまみれて
しまい、「復活展」の今回は回収した19点を含む88点を展示しま
した。展示会場は再開の場となり、絵画仲間やファン、元会員らが
詰めかけ安否の知らせに一喜一憂しました。

会場を訪れた方は「泥の中から見つけ出され、復元された絵に強い
思いが感じられました」と語り、さいたま市に住む元会長の男性は
「作品展の再開には5年はかかると予想していた。うれしい。
釜石ルネッサンス(文芸復興)になる」と語った。/平成24年6月13日号より抜粋


フェイスブック始めました

2012-06-14 00:27:05 | 日記・エッセイ・コラム

 よんどころない事情で、facebookを始めることにしました。仕事(原稿執筆)と、このブログのほかに、パソコン画面に張り付くのは心身に毒だと思って遠慮してたんですが、時代の流れには逆らえません・・・。

 

 

 知り合いのネット通に基本的な事を指南してもらい、挑戦してみたら、アカウントをとってすぐに知り合い数人からアクセスをもらいました。レスポンスの速さにはビックリです。実にたくさんの知り合いがfacebookをやっていたことにも驚きで、はぁ~、自分は完全に時代に乗り遅れていたんだなあと痛感しきりです。

 

 まだスマホにも切り替えていないけど、facebookを、デスクのパソコンに張り付かず、気軽に更新するのにスマホは大変便利だということも聞きました。確かにそうでしょうねえ・・・。

 

 

 …12日に原丈人さんの講演会で「iPhoneやiPadは新しいように見えて、中身のソフトはコンピュータ中心のIT時代の最後のステージのもの。決して新時代のものではない、今はコンピュータ時代の終焉を迎えている」と聴いてきたばかりなのに、“終わりの始まり”に足を踏み込んだ気分です(苦笑)。

 

 

 

 とにかく自分でやってみないことにはわかりません。ご自分のアカウントをお持ちの方は、ぜひ「お友達」になってくださいね!