白堊スポーツ - since 2004.09.18

母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

歴史を紀行するー司馬遼太郎

2023年02月11日 | 読書
評価5

再読(前回2019年11月15日)。
全国12都市を訪ねてその風土と歴史に思いをめぐらす司馬流歴史紀行。近江商人から渡来人へと展開する滋賀編が面白い。もちろん、わが盛岡を取り上げた「郷土閥を作らぬ南部気質」の読み応えは最高!盛岡中学も出て来る!

①竜馬と酒と黒潮と<高知>
②会津人の維新の傷あと<会津若松>
③近江商人を創った血の秘密<滋賀>
④体制の中の反骨精神<佐賀>
⑤加賀百万石の長いねむり<金沢>
⑥”好いても惚れぬ”権力の貸座敷<京都>
⑦独立王国薩摩の外交感覚<鹿児島>
⑧桃太郎の末裔たちの国<岡山>
⑨郷土閥を作らぬ南部気質<盛岡>
⑩忘れられた徳川家のふるさと<三河>
⑪維新の起爆力・長州の遺恨<萩>
⑫政権を滅ぼす宿命の都<大阪>


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レ・ミゼラブル(下)-ヴィクトル・ユゴー

2023年02月09日 | 読書
評価4

再読(前回2021年3月6日)。
王政打倒の暴動(1832年6月パリ蜂起)を物語の中心にして、ジャン・ヴァルジャンが瀕死のマリウスを助け出し、マリウスとコゼットの結婚、そしてジャン・ヴァルジャンの死までを描き出す。あのジャヴェール警部は自ら死を選び、テナルディエは最後まで悪党だった。感動巨編完結!

頁の半分近くが暴動の場面に割かれていて主人公ジャン・ヴァルジャンの出番が少ないのが残念。牢獄から出た後、良心に忠実に生きたジャン・ヴァルジャンには感動を禁じえない。人の心を失って金の奴隷と化しているニッポンの政治家、官僚、学者どもに「これを読め」と言いたい!


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レ・ミゼラブル(上)ーヴィクトル・ユゴー

2023年02月06日 | 読書
評価5

再読(前回2021年3月4日)。
窓ガラスを割ってパン一斤を盗んだ後、脱獄の罪を重ねたジャン・ヴァルジャンは19年の刑期を終え出獄するも、助けられた司教の家で銀食器を盗むなどの罪を重ねてしまう。その後、市長に転身して善政を行なうも裁判の被告をかばうため自らの前科を告白・・・不遇な美女ファンテーヌとその娘コゼットとの出会いなど、19世紀初頭のフランスを舞台に読みどころ満載!何度読んでも面白い!まさに不朽の名作!!!

では、では、

六月暴動が吹き荒れる中、ジャン・ヴァルジャンを追い続けるジャヴェール刑事との対決やコゼットとマリウスの恋の行方など、手に汗握る下巻へ突入いたしましょう!

【追伸】
私の大好きな作家小川洋子さんの短編集「口笛の上手な白雪姫」の中の 「一つの歌を分け合う」にレ・ミゼラブルの舞台が登場します。


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夫のカノジョー垣谷美雨

2023年02月03日 | 読書
評価5

再読(前回2020年7月1日)。
夫の不倫を疑った妻が相手の女性に詰め寄っている時に、なんと二人の体が入れ替わってしまった。妻は夫の部下として会社へ、女性は妻として子供の世話をすることに・・・お互いの立場をわかり合おうとする二人の心温まる物語。妻に替わった女性のPTAでの発言がウケる(笑)!

テンポが良くてとても読みやすい。
垣谷さんの小説は心が温まってクリーンで、読後感がとても良い!


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アクロイド殺しーアガサ・クリスティー

2023年02月02日 | 読書
評価4

再読(前回2021年1月17日)。
名探偵ポアロが老後を過ごすために移り住んで来た村の名士アクロイド氏が殺された。氏の義子が姿をくらましてしまい、残った7人の氏を取り巻く人々から事情を聴くポアロが事件の真相に迫る。最終盤のどんでん返しに驚かされる名作!

翻訳者の技量のせいだろうか?なかなか会話の流れがつかみにくい所はあるが、ストーリー展開はさすがのクリスティー!人々の小さい嘘の証言を次々に見破って行く流れと、まさかの「探偵小説の掟」破りは圧巻。


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銀行狐ー池井戸潤

2023年01月29日 | 読書
評価4

再読(前回2018年1月6日)。
銀行を舞台にした事件簿5編収録の短編集。銀行の裏の裏まで知り尽くした作者ならではの不正取引や顧客情報を基にした犯罪が語られる小粋でスリリングな物語。①金庫室の死体②現金その場かぎり③口座相違④銀行狐⑤ローンカウンター

私の好みは「ローンカウンター」。顧客情報が集中するATMを悪用してうら若き女性を襲う犯人が登場。一般人が入り込めない領域からの視点がユニークで面白い。


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沈黙博物館ー小川洋子

2023年01月28日 | 読書
評価3

博物館技師の僕はある村の博物館設立に携わる。そこは亡くなった村民の形見を収蔵する博物館で、僕は博物館の創設者の老婆から聞き取りをして記録文書を作成、老婆の娘がそれを清書するのだった。僕は形見収集にまつわる猟奇的な犯罪と爆弾騒ぎに巻き込まれてしまう。

老婆は「人間の存在を超越した博物館とする」ことを目指しており、博物館の真理として、次の3つを掲げる。①物事をてきぱきとやる②人がやらないことをやる③絶対に途中でやめない

小川洋子としては焦点が散漫で物語になかなか入り込めなかった。同時代の作品「ホテル・アイリス」(こちらの方が2年前の発表作品)に相通じる雰囲気。


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ロスジェネの逆襲ー池井戸潤

2023年01月24日 | 読書
評価4

再読(前回2017年9月6日)。
東京中央銀行から子会社の東京セントラル証券に出向した半沢直樹は、IT企業買収案件を巡って母体行の証券部と激しく対立。IT企業数社を巻き込んだ支配権を巡る攻防と系列会社同士とは思えない血みどろの展開に手に汗握る物語。

銀行子会社に出向した銀行員とプロパー社員の感情的な対立も描かれていて、プロパー社員の気持がわかり過ぎるほどよくわかる私(笑)にとっては、非常に読みごたえがある作品でした!


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オレたち花のバブル組ー池井戸潤

2023年01月21日 | 読書
評価4

再読(前回2017年7月23日)。
金融庁の検査を前にして、200億円の巨額融資を実行した老舗ホテルが運用の失敗で120億円の損失を出すことが確定した。引当金の大幅増は銀行の存亡に関わることから、半沢の奮闘が始まる。銀行内部と金融庁検査官の闇に半沢直樹が切り込む!

結局、良いところまで銀行上層部を追い詰めたものの、大企業の論理も働き決着は次回作へ持ち越しとなり「倍返し」不発・・・大向こうを唸らせる啖呵に期待!


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オレたちバブル入行組ー池井戸潤

2023年01月19日 | 読書
評価4

再読(前回2017年6月3日)。
ドラマでお馴染みの半沢直樹シリーズ。ある会社が半沢の勤める銀行から5億円の融資を受けた後に倒産。この倒産は社長の資産拡大を狙った計画的なもので、しかも銀行の支店長と結託したものだった。責任を問われた融資課長の半沢が真相究明に乗り出す。最後はスッキリ!痛快エンタメ!

国税庁の査察、銀行本部の臨店など、同様の経験をしたことがあるので「いや~わかるな~」が実感。臨場感溢れる描写に頁をめくる手が止まらない止まらない。再読にもかかわらず一気読み。勧善懲悪小説、間違いなく面白い!(でも、金融商取引独特の表現が出て来るので、慣れない人は戸惑うかも・・・)


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