白堊スポーツ - since 2004.09.18

母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

私の6月の記録

2021年06月30日 | 家族・自分
・107,451歩(7日間)=一日平均:15,350歩
・81.8㌔(7日間)=一日平均:11.7㌔
・読書=19冊

6月8日左足親指骨折につき、徒歩記録は7日間のみ。
神様の「ちょっと休むよ~に」とのご意思でございましょうか?
不本意ながら、高校野球初戦は公共交通機関でかけ付ける予定です。
健脚を皆様にご披露できる日が早く来るよ~にと祈るばかりです。

夜のピクニックー恩田陸

2021年06月30日 | 読書

評価5

再読(前回2017年2月1日)。
北高の名物行事は全校生徒が夜通し80㌔を歩き通す「歩行祭」。高校3年生で同じクラスの甲田貴子と西脇融は相手を意識しながらも1度として口をきいたことがなかった。貴子と融の秘密を軸に、今しかない高校生活を謳歌する若者たちのスタートからゴールまでを追う青春小説!

第2回本屋大賞受賞作。
「高校生活最後の行事歩行祭の一番終わりの頃になって、ようやくこれまで口のきいたことのないクラスメートと話すことができた。そして、そのクラスメートは腹違いのきょうだい!」
「みんなで夜歩く。ただそれだけのことがどうして特別なんだろう」

いや~面白い!何回読んでも傑作は傑作!
一つの学校行事からこんな物語を生み出せる恩田さんって天才!

【追伸】
恩田さんは茨城県立水戸一高出身。この作品の北高歩行祭のモデルは水戸一高の歩く会だという。


空飛ぶタイヤ(下)ー池井戸潤

2021年06月29日 | 読書

評価5

再読(前回2017年12月10日)。
メイン銀行から借入金の全額返済を迫られ、週刊誌掲載も妨害され、部品返還訴訟も暗礁に乗り上げて手詰まりの赤松だったが、他行の融資が決まったことから事態が好転。ここから大企業のリコール隠しという悪事が次々と明らかにされる。巨悪と戦う男の傑作エンターテインメント小説!

大企業の不正を暴くために同様の事故を起こした全国の会社を訪ね歩く赤松徳郎の孤独な姿が胸に迫って来る。その後に起こるホープ自動車の隠ぺい工作、メイン銀行の嫌がらせの数々に腹が立ってしょうがない。がーっ!正義は最期に勝ったのだ!いや~きもぢっこの良い物語!おどごの中のおどご赤松徳郎バンザイ(笑)!



空飛ぶタイヤ(上)ー池井戸潤

2021年06月28日 | 読書

評価5

再読(前回2017年12月3日)。
走行中の赤松運送のトレーラーのタイヤが外れて母子が死傷した。整備不良で家宅捜査を受けた社長の赤松は部品の不良を疑い、メーカーのホープ自動車に再調査のため部品の返還を求めるが、メーカー側はその要求をつっぱねる。そしてリコール隠しを疑う週刊誌記者が動き出した。大企業の不正と戦う赤松の行動から目が離せない!

リコール隠しを画策する大企業内部の主導権争い、融資にからむ銀行とメーカーの丁々発止、大企業に挑む中小企業社長の心意気、小学校でのいじめ、いやはや頁をめくる手が止まらない!止まらない!勧善懲悪小説の最高峰!下巻へ突入!



オリンピックの身代金(下)ー奥田英朗

2021年06月27日 | 読書

評価4

再読(前回2017年4月23日)。
昭和39年10月10日東京五輪開会式、資本家優遇に走る国家に反旗を翻そうと東大院生・島崎国男は身代金8千万の受け渡しがなければ国立競技場を爆破すると予告。競技場内外15万人の中に紛れ込んだ島崎を必死に追いかける捜査当局との息詰まる攻防に手に汗握る!

犯人・島崎、聖火台間近でダイナマイト2本手にした姿で刑事・落合昌夫に撃たれ身柄を確保される。高度経済成長の光と影の部分が強調されていた上巻に比べて下巻は島崎がいかにして官憲の手から逃れるかに重点が置かれているので重厚さが薄れてはいるが、運命の時10月10日の描写はさすが奥田英朗、痺れた!



オリンピックの身代金(上)ー奥田英朗

2021年06月26日 | 読書

評価5

再読(前回2017年4月21日)。
昭和39年の東京五輪を妨害し政府から金を奪うことを企てた男がいた。秋田出身で東大院生の島崎は富が集中する東京への怒りを強め、下層労働者の犠牲の上で行われようとしている五輪への憎しみを強め連続爆破事件を起こす。吉川英治文学賞受賞作。

「労働者の命とは、なんと軽いものか。支配層にとっての人民は、19年前、本土決戦を想定し一億総火の玉と焚きつけた時分から少しも変わっていない。人民は一個の駒として扱われ、国体を維持するための生贄に過ぎない。かつてはそれが戦争であり、今は経済発展だ。東京オリンピックは、その錦の御旗だ。」

五輪を前にして都会が高度経済成長につき進む陰で戦後19年経っても今だ貧困のうちに取り残された地方の姿が島崎の心を突き上げた。

五輪会場の建設作業員へと身を投じた島崎は、綿密な計画の元、五輪最高警備本部幕僚長宅爆破(8月22日)、中野の警察学校爆破(8月29日)、東京モノレール橋脚爆破(9月5日)を実行、国家の名誉と威信をかけて大捜査網を敷く警察側との対決の時=開会式(10月10日)が近づく!

島崎が犯行声明で使った名前が、昭和37年~38年にかけて全国を震撼させた「草加次郎」だったり、昭和39年夏の東京の給水制限率が50%にも達し五輪開催が危ぶまれるほどだったエピソードも織り交ぜながら物語が進行し再読ながらページをめくる手が止まらない。今回の五輪の件もありいろいろと考えさせられる内容だ。

さ~結末は如何に!?



下町ロケットー池井戸潤

2021年06月24日 | 読書

評価5

再読(前回2017年9月18日)。
直木賞受賞作。研究者の道を諦め家業の精密機械製造業を継いだ佃航平は有力企業からの取引打ち切りと特許訴訟の難題に直面。この逆境を社員の団結で乗り越え、ついにロケット部品の供給に漕ぎつけるまでの感動の長編!男たちの夢に向かって突き進む姿が眩しい!

小説版プロジェクトX。大企業に挑む中小企業の男たちの生き様がカッコいい。実に清々しい!ロケットが打ち上がり、「おめでとう、パパ!」花束を娘から受け取るラストシーンに涙。


王国への道・山田長政ー遠藤周作

2021年06月22日 | 読書

評価4

17世紀初頭、長崎から追放される切支丹一行に紛れ込みマカオに向かった藤蔵はその後アユタヤに渡り山田長政と名乗り、傭兵隊長、一地方の藩主にまで昇り詰める。長政と同時代を生きた切支丹・ペドロ岐部を対比させ日本人とは何かを探るフィクション。

権謀術数渦巻くアユタヤ王宮で「地上の王国」を目指す山田長政と魂の救いを「天上の王国」に求めて西欧まで旅するペドロ岐部の対比が興味深い。ストーリーはだいぶ脚色されているようだが、両人とももちろん実在した人物。ペドロ岐部は、日本への帰国後、長崎に3年潜伏したのち岩手県奥州市の水沢福原を拠点に5、6年伊達藩に潜む信徒と連絡を取り、彼らのために活動していた、とのこと。

しかし、アユタヤ王宮の摂政のオークヤ・カラホーム陰険すぎる!