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母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

ハロウィーン・パーティーアガサ・クリスティー

2021年02月28日 | 読書

評価5

ハロウィーンパーティーの夜、13歳の少女ジョイスが殺された。その後、弟のレオポルドも殺されてしまう。知り合いの探偵小説家オリヴァから捜査を依頼されたポアロはパーティーの場に居合わせた18人の人々の聞き取りを開始する。

ポアロシリーズ33作品の後ろから3番目の作品。
ハロウィーンパーティーの子供たちの喧騒と英国風の庭園造形を背景にした残酷極まりない犯罪。初めの頃のポアロシリーズにはない斬新な展開に一気読み!

まぁ~ほとんど主犯と共犯者の人間関係を明かさずに物語を進めて、最後の数頁で「実はこれこれだった」っちゅーのは反則だよな~とは思うけど、面白かったからアガサ許す(笑)!

行きつ戻りつー乃南アサ

2021年02月27日 | 読書

評価4

悩みを抱える主婦が旅に出て心の傷を癒され解決の入り口を見つける12の物語。切ないけど温かい乃南アサ作品。「青年のお礼」泣けた!(解説の立松和平も絶賛!)「春の香り」も良い!

全国12箇所を旅した気分。ネットで現地の画像を確認しつつ楽しく読んだ。作者の人を見つめる温かい眼差しがとても良い!斜里町や備前は乃南さんの長編小説の舞台にもなっています。

①姑の写真(秋田・男鹿)ー長楽寺、五社堂
②一粒の真珠(熊本・天草)
③微笑む女(北海道・斜里町)ーウトロ、峰浜
④最後の嘘(大阪・富田林)ー寺内町
⑤青年のお礼(新潟・佐渡)ー賽の河原
⑥母の家出(山梨・上九一色村)ー夜中の富士山
⑦湯飲み茶碗(岡山・備前)
⑧姉と妹(福島・三春)
⑨Eメール(山口・柳井)ー金魚提灯
⑩越前海岸(福井・越前町)ー東尋坊
⑪泣き虫(三重・熊野)ー七里御浜、さんま寿司、めはり寿司、熊野古道
⑫春の香り(高知・高知市)

侍ー遠藤周作

2021年02月26日 | 読書

評価5

支倉常長が率いた慶長遣欧使節団の史実に基づいた切支丹迫害を主題とした物語。1613年、長谷倉六右衛門など4人の使者と従者、商人、スペイン船員総勢100人を越す人々を乗せた大船は陸前の月ノ浦からノベスパニヤ(メキシコ)へ向けて出港した。

一行は苦難の末、アカプルコへ上陸しメヒコでは商人38人が商取引を円滑に行うために洗礼を受け、原住民の襲撃もかわし、通訳として使節団に加わっていたポーロ会のベラスコ神父の勧めもあり大西洋を横断してエスパニヤ(スペイン)へ渡る。

ノベスパニヤとの通商と宣教師の受け入れを願った藩の証書を国王に手渡したい使節団だったが、この間、日本国内で切支丹が全面禁制となったことを受けて、マドリッドでは日本側の要望の取り扱いについて宗教界での議論が続いた。その結果、受け入れを拒否された使節団は、一縷の望みを胸にローマ法王に拝謁するも、これは形ばかりのものであり大願成就ならず悲嘆にくれつつ長谷倉は1620年帰国する。後に再度日本入国を果たしたベラスコ神父は火刑とされ、長谷倉も切支丹改宗の咎で処刑されてしまうのだった。

べラスコ神父の行動がキリストの生涯と重なり、当初は切支丹改宗を歯牙にもかけなかった長谷倉の変化が「寄り添うキリストの姿」に重なり心に響いた。今一度「沈黙」を読まねばならんだろう!神父が語る「日本人論」かなり面白かったです。ためになりました!

【追伸】
どうやら使節団派遣の目的は、貿易や宣教師の受け入れはまやかしで実は「航海術、船舶の建造方法、外国航路の情報収集」だったらしいです。支倉常長さんたちは捨て石となったということでしょう。

おふくろの昔話。

2021年02月25日 | 家族・自分
最近、昔のことが、物凄く思い出される。
ど~したことか!?

今回はおふくろに寝る前に聞かされていた昔話。
へっぴり・・・(何とか)
狐の・・・(何とか)

「ぶふぅ~~~」という擬音と
「ぽぉっ ぽぉっ と明かりが」
という語り口が懐かしい

何も見ないで長々と話し聞かせるおふくろの語り、今思えばたいしたもんだ。どちらも舞台は、おふくろの故郷・西根だった気がする。

おがげで、わだくしはぐっすり寝るごどがでぎやんしだ。
おら何歳ぐらいだったんだべな!?

新参者ー東野圭吾

2021年02月24日 | 読書

評価5

日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎が犯人を追う。江戸情緒が残る商店街、人情と昔懐かしい風情が織りなす謎解きにぐいぐい引きまれる傑作。「新参者」の読みズバリ!

さすが東野圭吾。9つの章、それぞれが下町の人情たっぷりで落ちもなかなかで、全部一つの事件につながっている。みんな良い人なんだけど、殺人が起こるってのがちょっと悲しい・・・謎解きだけでは終わらせないストーリーでいつも楽しませてくれる作者に感謝!

第1章 煎餅屋の娘
第2章 料亭の小僧
第3章 瀬戸物屋の嫁
第4章 時計屋の犬
第5章 洋菓子屋の店員
第6章 翻訳家の友
第7章 清掃屋の社長
第8章 民芸品屋の客
第9章 日本橋の刑事

不時着する流星たちー小川洋子

2021年02月23日 | 読書

評価5

8人の人々、2つの出来事をヒントに書かれた10の短編集。

①誘拐の女王②散歩同盟会長への手紙③カタツムリの結婚式④臨時実験補助員⑤測量⑥手違い⑦肉詰めピーマンとマットレス⑧若草クラブ⑨さあ、いい子だ、おいで⑩十三人きょうだい

小川洋子ワールド、密やかに炸裂!
今回もいろいろな誰もが見逃したり、誰もが気が付かないでいる言葉が、物語を形作って行く。

裁縫箱、文字に似た小石、カタツムリレース、母乳ババロア、口笛虫、老人、消滅、お見送り幼児、お手玉、バルセロナ五輪、エリザベス・テイラー、文鳥、愛玩動物専門店、あやとり、サー叔父さん

どこが現実でどこが夢うつつかわからない小川洋子の世界。いつも読後に優しい気持ちになれるそんな世界観が大好きです。

蒼穹の昴(4)ー浅田次郎

2021年02月22日 | 読書

評価4

西太后派と皇帝派の対立は袁世凱の参加により西太后派の勝利に終わる。新聞記者トムと謎の美女ミセスチャンの策略でウエンシウとチュンルの妹リンリンは日本へ亡命を果たす。数奇な運命のドラマ終結。

袁世凱暗殺に失敗して放浪の身にやつした王逸はある村で聡明な少年に出会って家庭教師となるのだが、その少年の名が、な、な、なんと「毛沢東」。うわぁー!ビックリ!浅田次郎なんでもあり(笑)。

終盤の脱出劇にはワクワクドキドキで感動!・・・が、いろいろものをあまりにも盛り込み過ぎたせいか心象描写が散漫な印象。「物凄く面白い」という巷の評判には???という感想を持ちながら読了。