評価
最期の最期、市村鉄之助の手にかかって求めた死をむかえるはずだった斎藤一。しかし、「滝の落つる音と沢のせせらぎと、深い森の若葉が雨を蒐めて降り散らす滴の音は、大小の鼓を打つように面白く、涼やかであった。」まるで映画の一シーンを見ているような場景の中、鬼となった助広の刃が・・・あまりにも惨いラストに涙が禁じえなかった。150年前の日本のあまりに切なく悲しい物語。
この本で乃木希典が明治天皇御大葬の当日に妻と共に殉死したこと、西南戦争の本質を知る。新選組に関する話がほぼ上巻で終わったので、興味の置き所が鉄之助の行く末だけになってしまった下巻は一言で表すと「ラストだけ」。