評価
時は紀元前3世紀。ローマ帝国の指揮官スキピオはイベリア、イタリア北部で幾度となく難敵・カルタゴのハンニバルに苦汁を飲ませられる。ハンニバルの戦術「包囲殲滅作戦」に、イタリア南部のカンナエの戦いでは7万人の兵を失った。雪辱に燃えるスキピオはハンニバルの戦術を研究しカルタゴの地・ザマでの最後の決戦に挑むのだった。
いわゆる第二次ポエニ戦争(紀元前218年~201年)の話。フィクションかと思っていたが、調べてみると、史実に沿った物語のようだ。追い詰められたハンニバルが夜陰に紛れて牛の角に松明をくくりつけローマ軍を急襲した話や戦象(せんぞう)を前面に押し立てて戦うシーン、武器は槍、石、刀剣、ってところが「ひゃー古代!」って感じ(笑)。
ちなみに、『平家物語』に、木曽義仲が京に上る途中、倶利伽羅峠を守る平家軍に対し、牛に松明をつけて峠を走り下らせ、大軍が攻めてきたと驚き恐れた平家軍が潰走したという同じような話があるそうです。で、ローマの峠が「カッリクラ峠」で日本の峠が「倶利伽羅峠(くりから)」。なんという符合(驚)!
子供の頃にハンニバルが出て来る本を読んだ記憶があり、いつかハンニバル物を読んでみたいと思っていたことと、「独ソ戦」で西洋史に興味を持ったこと、塩野七生さんの本を読む前にローマ帝国に慣れておこう、ということで手に取った本。地味な戦闘シーンが多いのですが、けっこう面白かったです!いやーっ「知らないことを知ること」って楽しい!!!