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母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

博士の愛した数式ー小川洋子

2020年08月30日 | 読書
評価4

昔の交通事故の後遺症で記憶が80分しか持たない老数学者、その家へ通う家政婦の「私」、「私」の息子ルートが織りなす、数学の公式、阪神タイガースと江夏豊をめぐる「小川洋子の愛したタイガース」としても良かったかもしれない物語。最後はホロっとしてしまった・・・

いやはや出て来る出て来る数学用語。

・友愛数
・完全数
・素数
・虚数
・フェルマーの最終定理
・オイラーの公式

「は~素数か~」「虚数習ったような気も・・・」と何度となく頁をめくる手を休めて想いをめぐらす。典型的な文系人間だけど、実は数学は嫌いではない。答えがはっきりしているところが潔くて好きなのだ(笑)。

しかし、数学と阪神とほのかな思慕の情を結びつける小川洋子さんの創造力に感動!結びの文章が最高!

「縦縞のユニフォームの肩越しに背番号が見える。完全数、28。」

【完全数とは】
その数自身を除く約数の和が、その数自身と等しい自然数のこと
28の約数:1+2+4+7+14=28。

迷走する帝国(上)-塩野七生

2020年08月29日 | 読書
評価5

セヴェルスの後を継いだカラカラ(皇位211-217)は属州民にもローマ市民権を与える代わりに相続税と奴隷解放税を10%に引き上げる政策を実行するも、補助兵の給与増大=軍事費の増大から来る財政悪化を招き虐殺され、虐殺側である近衛軍団長官のマクリヌス(皇位217-218)が皇帝になる。

その後、セヴェルスの孫のヘラガバルス(皇位218-222)と弟のアレクサンデル(皇位222-235)が引継ぎ、アレクサンデルは233年、長く中東を支配して来たパルティアに替わり支配権を奪取したササン朝ペルシアとの戦役を有利なうちに収める。しかし、その後のゲルマン対策において軍団の反発を買い26歳で殺害され、マクシミヌス将軍が皇位を奪い、ローマは半世紀に渡る軍人皇帝の時代に突入するのだった。

終わりの始まり(下)-塩野七生

2020年08月26日 | 読書
評価4

・第18代皇帝ペルティナクス~第19代皇帝ユリアヌス(193年)
・第20代皇帝セヴェルス(193年~211年)

コモドゥス亡き後、5人の軍人が先陣争いを演じローマは内乱状態に。そんな中、ニゲル、アルビヌスに戦勝したセプティミウス・セヴェルスが皇位に就く。セヴェルスは北アフリカにある世界遺産のレプティス・マーニャ出身の前近パンノニア総督。

セヴェルスは「非ローマ的な専制君主」と呼ばれ、ローマの政体を軍事政権化へと舵を切った男である。セヴェルスがブリタニア遠征で死んだ後を継ぐのが、カラカラ浴場で有名なカラカラ(23歳)であるが、この息子、弟と仲が悪くついに殺してしまうのだった(212年)。

さて、さて、ここからが「頭から腐って行くローマ」の始まり。

【追伸】
この後、73年の間に22人もの皇帝が入れ替わったとのことなので、今までのように「第XX代皇帝」と見出しをつけるのは無理かと思われます。あしからず・・・

終わりの始まり(中)-塩野七生

2020年08月23日 | 読書
評価5

・第17代皇帝コモドゥス(180年~192年)

蛮族の侵入対策に明け暮れた最後の賢帝マルクスの後を継いだのは息子のコモドゥス。この皇帝は最悪である。実姉に暗殺を企てられたことを機に疑心暗鬼の虜と化し、数多くの元老議員、軍団長、義兄を殺害し、実に9年間もの間、統治を側近に丸投げし続けた。皇帝の寝所つきの解放奴隷だったクレアンドロスなどは私腹を肥やす目的で公職の売買を行い、年間25人もの執政官を誕生させたのだった。

ついには「ローマのヘラクレス」と自称し、悪行の限りをつくしたコモドゥスも192年、愛妾と召使に暗殺されこの世を去る。

やっぱり、バカ皇帝がいて、激動している時代の方がローマ史は面白い(笑)!

求む!作家・小説情報!

2020年08月22日 | 読書
乃南アサ、東野圭吾、宮部みゆき、塩野七生、三浦しをん、荻原浩、湊かなえ、浅田次郎、池井戸潤、司馬遼太郎、遠藤周作、吉行淳之介、角田光代、恩田陸、星新一、沢木耕太郎、有川ひろ、垣谷美雨、筒井康隆、小松左京、平井和正、眉村卓、井上靖、渡辺淳一、奥田英朗、以外でお薦め作家、小説があったら教えてください!

神様からひと言ー荻原浩(再読)

2020年08月22日 | 読書
評価3

2016年「海の見える理髪店」で直木賞を受賞した荻原浩さんの作品。食品メーカーに再就職した主人公(佐倉凉平)のお仕事小説+昔付き合っていた彼女との再会まで。

まあまあ、お客様相談室(苦情係)での仕事内容が面白いのと新商品開発までの内幕が興味をそそられるので450頁でもなんとか読めるって感じ。荻原作品は、5年前の読書熱再燃スタート当時に漁るように読み続けたが、今読み返すと、彼女との関係性などちょっと掘り下げ方が浅く感じて物足りない。当時は「おもしぇ~」と思って読んではいたのだが・・・

いろいろと奥深い作品、作者を覚えてしまったせいだろうか?