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流星ワゴンー重松清

2021年07月23日 | 読書

評価5

再読(前回2017年4月11日)。
家庭不和、リストラで死を考えて駅前に佇んでいた一雄の目の前に一台のワゴンが停まった。そのワゴンは一雄を乗せて幾度となく「もう一度やり直したい過去」へと連れて行く。ワゴンの橋本さん、健太父子の悲しい出来事に涙し、一雄父子の将来に微かな希望を感じさせる名作!

橋本さんと健太君は5年前にトラックとの正面衝突で死亡しているいわゆる幽霊なのだが、死をためらっている人々を車に乗せて人生の岐路となった時点へ時空を超えて運んでくれるのだ。一雄も何度となくその場に舞い戻り、「あ~こうしていれば」「気がつかなかった」と反省をし人生の変更を試みるがやり直しは出来ないのだった。この辺が実に切ない。

一雄と死を目前とした父・チュウさんとの朋輩としての再会がとても微笑ましい。橋本・健太父子、一雄・広樹父子、一雄・チュウさん父子、3組の父親・息子の関りを通して「父子」の有り方を問う何度でも読み返したい名作です。



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