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侍ー遠藤周作

2022年03月02日 | 読書
評価5

再読(前回2021年2月26日)。
支倉常長の遣欧使節をベースに組織としてのキリスト教のあり方と藩の捨て石にされた侍の悲哀を語る力作。1613年藩命により藩主の書状を届けるべくメキシコに渡った長谷倉は、なかなかその目的を果たせず、スペインを経てローマまで旅する。そして7年後に彼を待ち受けていた運命は・・・

メキシコ(当時のノベスパニヤ)に辿り着くまでの洋上の苦難、アカプルコへ上陸後も長谷倉たちを悩ませる日本の切支丹をめぐるお国事情とキリスト教二会派の対立、そして、思い余っての切支丹への改宗。散々な目にあった後に王、法王(現教皇)への謁見を求めてスペイン(当時のエスパニヤ)、ローマへ行くも会ってもらえず(教皇は最後にお義理で会ってくれた)。こんな悲惨な状況だからこそキリストのことが理解できるようになった長谷倉だったのに(物語ではそこまで語られていないが)幕府への藩としての申し開きのため詰め腹を切らされたのだった。あまりにも悲しい結末。

物語は使節の導き役であり、対立するペテロ会を出し抜いて日本への布教を進めようとするポーロ会の神父ベラスコによって語られている。対立する会派名が「ペテロ」と「ポーロ」とは、な~ほどねって感じです。


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