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ことりー小川洋子

2022年09月30日 | 読書
評価5

再読(前回2021年2月15日)。
ポーポー語を使って小鳥と会話が出来る兄と二人暮らしだった小鳥の小父さんは兄を失ってからは幼稚園の鳥小屋の世話をボランティアで懸命に務めるが、ある事件をきっかけに、その役目を取り上げられてしまう。両親亡き後、ひっそりと暮らす兄弟と小鳥が織りなす優しく切ない物語。

毎週水曜日に近所の青空商店でキャンディを買うお兄さんは、そのキャンディの包装紙で小鳥ブローチを作る。お兄さんが使うポーポー語を理解できるのは小鳥の小父さんだけ。兄弟での旅行は、実際に旅をするのではなく、厳選された品々をボストンバッグに詰め込み、旅行計画を綿密に立てた上で近所の幼稚園の鳥小屋の前まで行くこと。ある男に誘われて、メジロの「鳴き合わせ会」に出かけた小鳥の小父さんは、鳥籠に入れられた多くのメジロを次々と逃がしてしまった後、家に帰りついて自分が飼っているメジロの鳥籠を抱いたまま死を迎える。

こんな、小川洋子が紡ぎ出す小川洋子的世界。
両親が亡くなって、父親の書斎も崩れ落ちて、お兄さんも亡くなって、司書の女性もいなくなって、青空商店のキャンディも無くなって、そして、小鳥の小父さんも亡くなって、死をむかえるために人生はある、とでも言うような小川洋子文学作品です。

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