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水曜日の凱歌ー乃南アサ

2021年02月09日 | 読書

評価5

太平洋戦争後の日本に実在した進駐軍の性暴力に備えるために女性を募り各地に慰安所を作った組織「特殊慰安施設協会(RAA)」。その組織で通訳として働く母や女達の姿を14歳の少女鈴子が見つめる、もう一つの戦後を描いた長編小説。

乃南アサの長編小説は読みごたえがある。720頁、一気読み!乃南アサの長編小説は読みごたえがある。何と言っても語りにリズムがある!グイグイ物語に引き込まれる!

東京・本所に住む二宮鈴子は7人家族だったが、長兄は戦死、次兄は行方不明、姉は東京大空襲で死亡、妹は行方不明、父は事故で死亡し母と二人で生き延びていた。その母が英語を話せるということから、RAAに勤め始め、大森海岸、熱海と転居し生活を支える。そんな中、鈴子はせっかく親しくなった友達とも別れ、日ごとに逞しくなって行く母の姿を冷ややかな目で見つめ、敗戦国日本の悲惨な状況を目の当たりにし苦悶する。

本所の時の友人勝子に再開する場面に感動。片腕を失くした勝子との楽しい会話と新たな夢に向かって羽ばたける予感・・・だが、その勝子親子の悲しい行く末にがっかり。ここだけが不満。良いことがなかった二人に明るい未来を残して欲しかった。

こんな史実があったことに驚いた。

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