評価
紀元前2世紀半ば、強大国カルタゴを滅ぼし地中海世界の覇者となったローマだが、貧富の差が増大し内部から病み始める。護民官として改革に乗り出したグラックス兄弟の時代を経てマリウスとスッラの時代まで(紀元前133年~前78年)。
ティベリウス・グラックスの後を受けた弟のガイウスは、兄が確立しえなかった農地法の再承認に取り組み、失業者・貧困対策として軍隊法、公共事業法、植民都市法、市民権改革法などを矢継ぎ早に提案するも、兄同様、反対派に殺害されてしまう。そんな中、マリウスが推し進めた軍政改革にかねてから不満を持っていた同盟諸都市が蜂起(同盟者戦役)するも、ユリウス市民権法の成立により共和制ローマは都市国家を脱却し世界国家としての歩みを始める。
日本の同年代は弥生時代ではないかと思われるが、そんな頃に、租税やら退職金やら失業対策やら相続に悩むローマ人。いやはや恐れ入るしかありません。
◆カバーの銀貨について
ローマ共和制時代は長く、通貨に彫るのは人間の顔よりも、神話の神々である方が断じて多かった。元老院体制としてよい少数指導型の政体では、個人の突出は喜ばれる現象ではなかったという事情もある。ここで取り上げたデナリウス銀貨もその一例で、表面は勝者を示す月桂冠を頭上にした男神アポロ。
【追伸】
イタリアものを読む時のBGMはメンデルスゾーンの「イタリア」
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