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王国への道ー遠藤周作

2022年02月27日 | 読書
評価5

再読(前回2021年6月22日)。
1614年切支丹国外追放者の船に一人の男が乗り込んだ。藤蔵というその男はシャム・アユタヤの日本人町を統率し数々の戦に勝利、軍事的な才を買われ傭兵隊長へ登りつめる。権謀術数渦巻く地での山田長政の活躍と友人の司教ペドロ岐部との世界観を対比して語られる激動の物語。

騙し騙されのアユタヤ王朝の王位をめぐる争いが凄まじい。そんな中を冷静な戦術眼で潜り抜けて来た長政も最後には信じた女に裏切られ毒を盛られて死をむかえる。と、言っても、その女性は長政が謀略で失脚させた男の娘だったのだから自業自得。「天上の王国」を目指したペドロ岐部と対照的に「地上の王国」を目指した長政の限界だったのだろう。かなり身勝手な男に映る。ペドロ岐部の歩みについては「銃と十字架」(遠藤周作)に詳しいとのこと。水沢潜伏についても記述されているらしい。


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