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キリストの誕生ー遠藤周作

2022年09月18日 | 読書
評価5

再読(前回2021年1月23日)。
「使徒行伝」を元にイエス磔刑後の原始キリスト教団の動きを追う。イエスをユダヤ教の枠内でとらえる旧弟子グループとユダヤ教を越えるものとしてとらえるポーロを中心とするグループの二派に分かれた後、ポーロは異邦人布教のため壮大な伝道の旅に出る。

「神と人間の和解には神の子イエスの死の犠牲が必要であり、イエスは人間の罪を背負う生贄の羊だった」と考えるポーロは伝道旅行の末、ついに未決囚という身分ではあったが西暦58年ローマに辿り着く。ここでポーロは皇帝ネロによる迫害を受けるが、時を同じにして、ユダヤ教の枠にとらわれているエルサレムの弟子グループが消滅したことによりキリスト教は世界的宗教の可能性を持つようになるのだった。

「神の沈黙」「キリストの不再臨」が原始キリスト教団の解決できない悩みではあったが、かえって解決できない謎を抱えたことが信仰のエネルギーとなったのであろう、と著者は分析する。また、これだけではなく、イエスだけが持つ神秘な物「X」が弟子の心を突き動かしたのだろうと語る。遠藤周作氏にもわからぬ神秘「X」、う~む・・・謎である。

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