評価
長女・オパール、長男・琥珀、二男・瑪瑙の3人はママから「大きな声を出すこと。壁の外では出てること」を禁じられて古い別荘内で図鑑を見ながらオリンピックごっこや事情ごっこで遊んでいた。閉ざされた世界の中の温もりに抱かれながら幸せな日々を送る子どもたちの物語。
事情ごっこ、という創造力を駆使しての遊びの場面がとても楽しい。クレオパトラと雲梯が結びつく事情とは?国際連盟と逆子が結びつく事情とは?この事情について語る琥珀とオパールの解釈が驚くべき解釈なのだ!内容を説明するのは難しいので是非一読願いたいのだが(笑)、小川洋子の創造力たるやどこまで広がるのだろう!?それはまさに脅威的だ!たぶん、ここのくだりだけでも数編の小説を書いちゃうんだろうな~
「人間の一生も生と死の閉ざされた空間での出来事」という小川さんの世界観から目が離せられない。一ヵ月一冊の小川ワールド、私の最大の清涼剤です。
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