評価
死にまつわる連作短編集。死という閉ざされた世界に散りばめられた小川流の舞台装置に没頭。①洋菓子屋の午後②果汁③老婆J④眠りの精⑤白衣⑥心臓の仮縫い⑦拷問博物館へようこそ⑧ギブスを売る人⑨ベンガル虎の臨終⑩トマトと満月⑪毒草
「心臓の仮縫い」が良い。生まれつき外へ飛び出してる心臓を持っている女性の依頼で、心臓を入れるカバンを作った鞄職人の話。全てを投げうって完成した鞄を持って女性を訪ねて行った鞄職人に女性は冷たく言い放つ。「外科手術で心臓が元通りになることがわかったので鞄はいらなくなったのよ。」そこで鞄職人は・・・「拷問博物館へようこそ」もかなり良い。
いやはや、小川さんお得意の小道具がこれでもか、これでもかと飛び出して頁をめくる手が止まらない。内容は残酷、グロテスクだったりするが、小川さんの手にかかると静謐な物語になるところが凄い!各短編の登場人物や話がつながっているので、確認しながらもう一度読んでみよう!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます