2月15日 NHKおはよう日本
菅井円加さんが若手が競うローザンヌ国際バレエコンクールで優勝した。
今年は、入賞21人中5人が日本人だった。
なぜ、日本のバレエはここまで進化したのか。
吉田都さん、熊川哲也さんもこのコンクール出身である。
毎年のように日本人は入賞しているが
世界的に見ても最多数の入賞である。
菅井円加さんが6歳から通っている神奈川県内のバレエスクールには
3歳から大人まで80人が通っている。
このスクールではローザンヌ国際バレエコンクールの入賞者を
菅井さんのほかに2人だしている。
上達のポイントは最初は“楽しみながら”。
幼児のクラスでは本格的なレッスンの前に音楽に合わせて踊る楽しさを学ぶ。
上達のポイントふたつ目は“基本の動き”。
小学生のクラスでは基本をみっちりやる。
そして“高い技術を持つ指導者”。
このスクールの講師は10人で
国内コンクール優勝者や海外のバレエ団で活躍した人もいる。
日本のバレエ教室の数 4,600か所(推計)
日本のバレエ人口 40万人以上(推計)
これは世界一の規模ではないかという声もある。
ヨーロッパやロシアでは国立のバレエ学校に選抜で入学し、
国立のバレエ団員(プロ)になる。
選抜された人たちがさらに選抜されるのである。
日本の場合、スタートは誰でも入れるバレエ教室で人数も多い。
指導者も優秀である。
裾野が広い分、頂上も高くなる可能性がある。
日本で唯一の国立バレエ団 新国立劇場バレエ団。
菅野英男さん(30)はウクライナのキエフ国立バレエ団で8年間活動してきた。
2年前に帰国して入団し、主役級を任されるまでになった。
ウクライナではバレエ団から毎月、給料が支払われていたが
ここでは出演料の年間約300万円だけ。
生活費を補うためのアルバイトで週末ごとに地方をまわり、
バレエ教室の発表会などに出演している。
菅井英男さん
「ヨーロッパではダンサーが引退した後も年金という形でもらえるので
向こうのほうがしっかりしている。
日本では自分が踊れなくなるとおしまいなので危機感を感じる。」
新国立劇場芸術監督 デビッド・ビントレーさんは、
このままでは優秀な人材が流出して
せっかく築き上げた日本のバレエ文化が衰えてしまいかねないと指摘する。
「世界的に見て、日本のバレエは演技力、芸術性ともにトップレベルだ。
それでもよりよい生活を求め優秀なダンサーが海外に出てしまう。」
日本では国立のバレエ団員でも経済的に自立するのが難しい。
副業のひとつが先生なのである。
街のバレエ教室に優秀な先生が多いのもそういう事情がある。
これだけ普及したバレエを日本の文化の一つとして育てていくことを
考えなければ行けない時期にきている。