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世界が共感 イラン映画「別離」

2012-02-27 06:23:33 | 海外ネットワーク


  2月25日 NHK海外ネットワーク

  イランに生きる人たちを描いた映画が海外で共感を得ている。
  去年のベルリン国際映画祭で最高賞を受賞した映画「別離」。
  アカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされた。
  イランはこれまでにも国際的な映画祭で数多くの受賞作をおくりだすなど、
  映画製作が盛んな国として知られている。

  「別離」は、
  一人娘の将来をめぐって、離婚の危機に陥った夫婦が主人公である。

  銀行勤めの夫、
  妻は英会話講師を務める自立した女性。
  夫婦がそれぞれ車を持っている。
  暮らしに余裕があるイランの典型的な中流家庭である。
  間もなく11歳になる一人娘によりよい教育を受けさせたいと
  外国への移住を希望する妻。
  しかし夫は認知症の父親の介護があるため国内に残るべきだと主張。
  意見の対立から妻は実家に戻ってしまった。
  父親の介護のため夫はひとりの女性を雇った。
  小さな子どもをつれ貧しい地区から通って来る
  この女性の登場で新たなトラブルが起きる。
  介護中の女性が休養で外出した間、
  父親が歩き回らないよう手をベッドに縛り付けていたのである。
  さらに夫は家からお金がなくなっていることに気が付いた。
  夫は玄関から女性をつきとばしたが、
  女性は妊娠していた。
  階段に倒れこんだ女性はその後、流産。
  夫は告訴され裁判所に出廷を命じられる。
  女性の妊娠を知っていながら突き飛ばしたとすると殺人罪に問われる。
  どちらが真実を語っているのか、
  大人たちは皆隠し事をしているようである。
  夫のトラブルを解決するため戻ってきた妻は
  示談金を払おうとして再び夫と言い争いになる。
  
  映画は国際的にも高く評価されている。
  去年のベルリン国際映画祭の最高賞を受賞。
  各国の映画祭で合わせて80の賞を受賞している。

  アスガー・ファルハディ監督(39)は
  映画に描かれている家族や人間関係の問題を、
  映画を観た人たちにそれぞれ考えて欲しいを話している。
  
  アスガー・ファルハディ監督
  「私の映画は地図を渡して目的地を示すようなもので
   どのようにたどり着くかは観客の想像力に委ねられている。
   私は観客の理解力を信じる。
   観客に映画で問いかけている問題を考えてもらうことが大切と思う。」

  映画にはイラン社会が直面する閉塞感も描かれている。
  介護に当たる女性の家族を描くことで経済格差の現実も浮き彫りにしている。
  夫の借金で生活が苦しく、
  妊娠中でもバスで2時間かけて通う女性。
  失業中の夫は気性が荒くまわりとトラブルを引きおこす。

  貧しい女性の夫役を演じたシャハブ・ホセイニさんは、
  映画を見た人は、
  登場人物は自分たちと同じと感じることが映画の成功の理由と話す。
  「映画を観た多くの人は僕の役柄に自分を重ね合わせたと思う。
   彼が直面していた社会の格差はまさに普遍のテーマだ。」

  核開発をめぐって国際社会と確執が続くイランで製作された1本の映画。
  等身大のイランの人々の姿を伝えることで世界の共感を集めている。

  


  
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