2月21日 おはよう日本
就職支援会社が都内で開いたイベントは、
学生がテーブルで待ち、
企業の採用担当者が訊ねて行くという逆求人スタイル。
学生は自分の得意なところなどをアピールして
企業側がそれを聴く。
このイベントは年間16回開かれていて、
この日の対象はIT業界。
大手企業からベンチャー企業まで23社が参加した。
IT企業採用担当者
「普通の合同説明会に来る学生さんよりも意識が高い。
自らこういう場に来ようという時点ですでに前向き。」
静岡大学3年生はパソコンを持ち込んで、
自分が作ったインターネットサイトをアピールした。
内容は大学入試さんター試験“情報関係基礎”の
5年分の過去問の解説をしている。
この科目は受験生が少なく、
いわゆる過去問を扱った参考書が無い。
自らこの科目を受験したがとても苦労したので、
受験生の役に立ちたいとサイトを作ったのである。
他にも友人の結婚式のために作ったビデオなどを使って
パソコンの能力の高さをアピールした。
その結果、2社から
後日詳しい話をしたいと声をかけられた。
「自分の言いたいことを全て言い出して、言い尽くして
それに企業が応えてくれる新しい形だったので
自分のよさを発揮できたと思う。」
大手総合家電メーカーSONY。
今年、うちだした新たな採用方法が話題になっている。
学生向けの採用情報を載せたホームページで、
まず目に飛び込んでくるのは
「ルールを変えよう」
という大きな文字。
就活≠スーツ。
就職活動はスーツをいうように画一的に考えるのはやめましょう
という呼びかけである。
日本発のトランジスタラジオ、
世界を驚かせた携帯音楽プレイヤーWALKMANなど
ヒット商品を連発してきたソニーだが、
最近は海外のメーカーに押されて赤字が続いている。
こうした状況を打開するには、
色々な考え方が出来てアイデアを出せる多様な人材が必要で、
スーツに象徴されるようなマニュアルを取り払って
もっと個人のいいところを見極めたいとしている。
ソニー採用部 米田牧子部長
「スーツでもいいしふだんぎでもいい。
そうでないとだめという画一化されたルールというのは
我々の会社にいらない。
世界レベルでいろんなことがすごいスピードで進化している時代。
そういうことに対応していくような
色々な側面で強みを持っている人を集めていくのは
時代のなかで必然性を増している。」
就職活動中の学生向けのイベントが開かれた。
たしかに服装はまちまちである。
「ルールを変えよう」という呼びかけを学生はどう感じているのか。
「個人個人に目を向けて
本当にあった人を採用してくれるんだろうな、
織田外がメリットがある採用方法かなって思います。」
「斬新だなって率直には思ったけど
まだスーツを着てなきゃいけないという思いがすごくありまして
葛藤があります。」
ソニー採用部 小林康裕課長
「就職活動のルールを変えようという訴えの内容はさまざまあるが
徐々に浸透していくと思う。」
作家 石田衣良さん
「企業も学生も、
お互いこのままではまずいだろう、よくないと思いながら
ずっと同じことをやっているのが日本の新卒採用の現場。
画一的な採用をしていると人材の多様性が担保されない。
学生たちに選択の数をたくさん用意してあげる。
学生はそれを思い切り使って面白いことをやってもらいたい。」
通常の就職活動は、
学生は企業から質問されてそれに対して答えるので、
自分の言いたいことが言えない。
自分のいいところが表現できないといったことがあって
逆求人のようなスタイルが生まれてきている。
企業側からすると
不景気が長く続くなかで
これまでのような画一的な採用方法では生き残れないのではないか、
という声も聞かれる。
学生側の思いと企業のねらいをよくみると合致する部分もあるので
こういったスタイルは広がっていくのではないか。