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W杯の陰でブラジル国民の不満

2014-07-04 07:15:00 | 海外ネットワーク

6月22日 NHK海外ネットワーク


6月12日に開幕したW杯。
国のプライドをかけた熱い戦いが続いている。
64年ぶりの開催となった地元ブラジルも大いに盛り上がっている。
「優勝を信じている。
 絶対にあきらめない。」
「みんなワールドカップを楽しんでいるよ。」
ただ階差地ならではの現象みみられる。
ナタルのスタジアム近くの店では普段は日本円で75円のコカコーラがW杯の期間中とあって250円になっている。
日本から訪れたサポーターも驚いている。
「レストランの値段の表示がかえられていた。
 ワールドカップ用の値段になっている。」
「ホテルも高い。
 日本円で3万円。」
リオデジャネイロのホテルでは宿泊料が跳ね上がったため泊まるのをあきらめた人たちがビーチで野宿。
さらにはバスターミナルに泊まり込む人たちも。
ブラジルではW杯開催をきっかけにあらゆる物の値段が上がっている。
サンパウロのW杯スタジアム近くにある土地には1か月ほど前から約1万5,000人がテント暮らしを続けている。
地価高騰で値上がりした家賃が払えなくなり家を失った人たちが不法に移り住むようになったのである。
景気低迷を理由に旋盤工の仕事を解雇されたサンドロ・デジェススさん(28)。
妻と4才の娘、それに親類の合わせて6人で暮らしている。
電気もガスも水道もないテント暮らし。
毎日の食事はボランティアの炊き出しに頼っている。
幼いころはサッカー選手になることを夢見ていたというデジェススさんは今回の地元でのW杯を待ち焦がれていた。
楽しみにしていたはずのブラジル戦も
「ブラジルの試合は見ない。
 ワールドカップが開かれても何もいいことはない。
 試合を楽しもうという気にはなれない。」
W杯開催の効果でブラジルの福祉・教育は充実する
という政府の説明を信じていたデジェススさんだが期待は裏切られた。
(サンドロ・デジェススさん)
「ブラジルには明るい未来があると思っていた。
 でも私たちの生活はちっともよくなっていない。」
デジェススさんのようにテント暮らしを続けている人たちは
自分たちが移り住めるような安い住宅を一刻も早く提供するよう
地元のサンパウロ市当局に訴えている。
いまどれほど厳しい生活環境に置かれているかをアピールしようと
当局に提出するための住民リスト作りにも取り掛かった。
子どもやお年寄りを抱える家庭はどれくらいあるか。
仕事を失った人は何人いるのか。
切迫した状況を具体的に示すことで当局に早急な対応を迫ろうというのである。
さらにW杯開催中の今もサンパウロ市内をデモ行進し住宅の提供を繰り返し求めている。
こうした要望はサンパウロ市議会にも伝えられた。
市側はテント暮らしの今後について検討したいとしているが具体的な対策は示していない。
またブラジル政府も以前から貧困者向けの住宅を安く提供する政策を打ち出しているものの
W杯開催に伴う地価の高騰もあって大都市では住宅の需要に供給が追い付いていない。
W杯で国中が沸いているからといって政府には国民の生活や福祉をないがしろにしてほしくはないと
デジェススさんたちは願っている。
(サンドロ・デジェススさん)
「私たちには住まいも医療も教育も何もない。
 政府はアパートを建てるなどやるべきことをちゃんとやってほしい。」

W杯開会後は各国の試合が行われている都市で重点的にデモが行われている。
参加者は数百人と比較的小規模にとどまっているということで
当局も暴力的なものにならない限りは静観しているというのが現状である。
訴えが政府を動かすことになるのか試合の行方も含めて気になるところである。

 

 

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