7月16日 編集手帳
ひまわりの異称「こがねひぐるま」(黄金日車)は与謝野鉄幹の造語ら しい。
夫人の晶子に歌がある。
〈髪に挿せばかくやくと射る夏の日や王者の花のこがねひぐるま〉。
金色の滴が飛び散るような響きが、
この美しい異称にはある。
ひまわりは、
光り輝く生命をそのまま形にしたような花である。
『ゴッホの《ひまわり》展』が仙台市青葉区の宮城県美術館ではじまった。
損保ジャパン東郷青児美術館蔵のゴッホ「ひまわり」が特別公開されている。
ひまわりと聞いて、
北上川のほとり、
東日本大震災で児童74人が犠牲になった大川小学校(宮城県石巻市)を思い浮かべた人もいるはずである。
わが子の生きた証しにと、
児童が津波から逃れようとした高台に親御さんたちが種をまいた花壇のことは、
小欄で も触れたことがある。
ゴッホの絵に、
その生命の花を重ねる方もあろう。
まど・みちおさんに『ヒマワリ』と題する詩がある。
〈ひとり げらげら/わらってる /まわりを しーんと/させちゃって〉。
自身は無邪気で、
陽気でありながら、
沈黙の風景が似合う花である。
そう、
遺影の笑顔を見ているような。