6月23日 キャッチ!
フィリピンの首都マニラから北に100キロ。
農耕地帯が広がるルソン島中部の山あいの集落 アイタ地区。
30世帯が暮らしているが村には電気は通っていない。
米作で生計を立てている住民の月収は日本円で多くて3500円。
電気が通っても最低料金が月2000円とされる電気代は賄えない。
日が暮れると頼りはランプとロウソク。
それもなくなるとたいまつの火をかかげて夕食をとると言う。
(住民)
「燃料を買うお金がないのでランプはあまり使えません。
教科書も読めないので朝の間に勉強するようにしています。」
この村をあるNGOグループが訪れた。
運んできたのは大量の空のペットボトルと小さな太陽光パネル。
これらを組み合わせて電燈を作り無償で配る活動をしている。
リーダーのイラック・ディアズさん。
住民たちが通っている教会を通じてこの村のことを知り電灯30個分の材料を持ってきた。
伝統はペットボトルにLEDライトを入れ太陽光パネルを取り付けるだけの簡単な仕組みである。
住民たちと一緒に組み立て屋根に取り付けていく。
昼間の充電で一晩は明かりをともせるという。
(NGO代表 意ラック・ディアズさん)
「農村の人々はアジアで最も高いとされる電気代が払えません。
私たちの活動は手軽な方法でこうした地域に明かりを提供することです。」
日が沈むと村のあちらこちらで電灯がともり始めた。
待ち望んでいた夜の明かり。
新たな暮らしに住民たちの期待も膨らむ。
(住民)
「電灯のおかげで今では普通に食事ができるようになり子どもたちはとても喜んでいます。
この明かりはとても大切なものです。
太陽の光に感謝しています。」
国内の貧困地域で無償で電灯を配るディアズさん。
アメリカ留学中にペットボトル電燈のアイデアに出合い3年前 故郷のフィリピンで活動を立ち上げた。
当初は水を入れたペットボトルを屋根に取り付け
そこから差し込む太陽の光を利用して昼の間だけ屋内を明るくすると言う単純な仕組みだった。
しかし夜こそが明かりが必要だという人々の願いを受けて改良を重ね太陽光パネルを使った今の電灯を考え出した。
材料費はすべて企業から集めた募金で賄っていると言う。
今ではディアズさんたちの活動はインターネットを通じて世界各地に伝わり20か国に広がっている。
ディアズさんがいま力を入れているのが去年の台風で壊滅的な被害を受けた被災地の支援である。
家を失った多くの住民は被災から半年以上が経った今も電気代が支払えず明かりのない生活を強いられている。
(住民)
「本当に幸せです。
これですべてが変わります。
私たちの暮らしに色が戻ってきました。」
(NGO代表 イラック・ディアズさん)
「明かりは生活再建のまさに第一歩なのです。
大切なのは自分が人々を前進させることが出来るということです。」
暗闇を照らすペットボトルの小さな光。
貧しくても強く生き続けるフィリピンの人々の暮らしに希望の光をともしている。