3月29日 おはよう日本
地方議員の構成は
農業・林業と兼業している人たちで約2割
次いで 卸売・小売。建設業などとの兼業
ほかに職業を持たない専業の議員も約3割いるが
サラリーマンと二足のわらじを履く人はほとんどいない。
元渋谷区議 浜田浩樹さん(36)。
5年近くにわたって会社に籍を置いたまま渋谷区議を務めた。
サラリーマンのセンスを生かせば政治と有権者の距離をもっと近づけられると考えたからである。
(浜田浩樹さん)
「一般の民間企業と比べて財務とか経理の体質はどうなのかとか
予算とか決算を見るときでも
どうしても今までの議会では触れられてこなかった部分に着目できたりとか。」
人災派遣会社で新規のプロジェクトの立ち上げなどを手掛けていた浜田さん。
8年前 会社の許可を得て立候補し初当選した。
提言したのは
区の施設の命名権を民間企業に売り出す“ネーミングライツ”の活用。
民間の資金で区政を活性化しようとしてきた。
順調に思えたサラリーマンとの二足のわらじ。
しかし2期目を迎えたときに会社からある通告を受けた。
「議員活動のための休職があまりに長くなれば企業活動に支障がある」として
1期4年以上の活動は認められないというのである。
浜田さんは議員を辞めるか会社を辞めるか選択を迫られ
会社を辞めることになった。
今は予備校講師などをして暮らしている。
(浜田浩樹さん)
「なかなか企業の側も難しいというのはわかりますけれども
どうしても今の仕組みはサラリーマンが議会に入りにくい。
そういうのは変えていかないといけない。」
地方議会をこれからどのように変えていくべきなのか。
市民の間でも関心が高まっている。
(25日 東京千代田区 地方議会の改革を考えるシンポジウム)
「住民に見える議会
開かれて議会
住民参加の議会をやる。」
「既得権益を守るために古い議員が結構多くいるというのが問題の1つ。」
働く人の大半を占めるサラリーマンが
もっと地方政治に参加できる仕組みをつくべきだといった意見も相次いだ。
「会社勤めの方たちも含めて
仕事を持ったまま議会に参加することはできないか。」
「週末とか夜間にまったく今までとは違ったような人を参加させてやるようなこと
面白い政治ができるんじゃないか。」
サラリーマンが議員になると地方議会はどのように変わるのか。
千葉県栄町の町議会議員 野田泰博さん(67)。
サラリーマンをしながら5期20年にわたり議員を務めてきた。
(野田泰博さん)
「大変でしたよね。
やりくりの時間のそこら辺はいちばん苦労しました」
会社では営業部長を任されるなど敏腕営業マンとして活躍していた野田さん。
議員になったきっかけは
町の財政運営が一般企業の感覚とかけ離れていると感じたことである。
野田さんが疑問を持ったのが1,000人収容のホールを備えた施設。
建設計画が発表されたとき
野田さんは町の規模に釣り合わないと思い
知り合いの議員に問いただした。
(野田泰博さん)
「たった2万人ちょっとの町にこんな1,000人も入るホールが必要なのか。
500人か600人のホールで十分じゃないかと思ったんですよね。
なんで反対しないんだって言ったら
『素人に何がわかる』って祝えたんです。」
その悔しさをばねに議員となった野田さん。
サラリーマンの感覚で議会の情報公開にいち早く取り組んできた。
独自の報告
名づけて“栄町見聞録”。
初当選した平成4年からこれをほとんどの世帯に配布してきた。
(野田泰博さん)
「見ざる言わざる聞かざるを反対にして
“見る 聞く 話す”。」
町の抱える課題をわかりやすい見出しをつけて解説するなど
住民に議会に関心を持ってもらえるよう工夫している。
さらにすべての議決について誰が賛成し誰が反対したかを一覧表にした。
議会で何が行なわれているかを正確に伝えるという
企業では当たり前の報告・連絡・相談(ほうれんそう)を住民との間で行おうとしたのである。
(野田泰博さん)
「これは当たり前だと思っている。
サラリーマンとしては
報告書を作ったりしているのは
そういう意味では会社の経験が生きたんでしょうね。」
この“栄町見聞録”は議会が身近になったと住民にも好評である。
(住民)
「議会の内容がなかなか見えないところがありましたよね。
いま町でこういうことをやっているんだ
こういうのが今 審議されてるんだって
そういうのが出てくるのはすごくわかりやすいですね。」
「どなたが何を発言されてその人の考え方がこれでわかる。
ものすごく透明度が高いんですよ。」
(野田泰博さん)
「サラリーマンは納税者であって
税金を使うことを自分でチェックしなきゃいけない。
どう使われていくかということが町を良くしていく。
いろんな考えをサラリーマンから発信していくことによって
僕は議会というのは変わっていくんじゃないかと思いますね。」