4月4日 おはよう日本
高知県仁淀川町
人口約6,000
ここ5年で800人以上減っている。
農地の多くが棚田や段々畑。
しかし土地が狭く機械を入れられないため放棄されるところが年々増えている。
そんななか棚田を農業用ハウスとして再利用しようという試みが始まった。
野々宮益輝さん(61)は3月に使われなくなった棚田にハウスを建て
トマトを栽培している。
このハウスにはある大きな特徴がある。
真冬でも暖房を全く使わずにトマトを育てることができるのである。
この冬の最低気温は-6℃。
しかしその時でさえハウスの室温は3℃あった。
氷点下になると枯れてしまうトマトの栽培に成功した。
(野々宮益輝さん)
「かなりの成果ではないかと思う。
真冬の氷点下6度の中でトマトが収穫できるというのは。」
このトマトは1月の中旬から出荷も始まった。
味の評判も上々である。
「味も何とも言えん。
おいしい。
甘みがあって。」
なぜ真冬でも暖房を使わずに高い室温を保てるのか。
高知大学の研究チームが調査したところ
その理由はハウスの側面に使われている棚田の石垣にあることがわかった。
日中 石垣なその内部にまで熱を蓄えていく。
その熱エネルギーが夜もハウスの室内を暖めていたのである。
またハウスの側面を石垣が覆っているため
外に逃げる熱も少なく抑えられる。
(高知大学農学部 宮内樹代史准教授)
「耕作放棄地の対策にもなりますし
石垣蓄熱ハウスをきっかけに新たな園芸モデルがつくられるのでは。」
使われなくなった農地の思わぬ利点を生かした石垣ハウス。
野々宮さんは国と町から補助を受け
新たに10アールのハウスを建設予定である。
山間地ならではの新たな試み。
町の再生に一役買うことができるのか。
今後が注目される。