4月28日 キャッチ!
世界トップの生産量を誇る原油の輸出に支えられ
プラス成長が続くサウジアラビア。
人口3,000万人のうち30歳以下が3分の2を占めるなか
若い世代が国内消費を支え
小売業は過去3年間毎年10%の成長を続けている。
その中でも注目されるのは
ファッション関係を中心に購買意欲が高まっている女性の存在である。
人前で肌を出すことが禁じられているイスラム教徒の女性が身にまとうアバヤが並べられた展示会場。
その一角でファッション系の専門学校に通う女子生徒たちによる
アバヤのデザイン・コンクールが開催された。
きわめて保守的な国として知られるサウジアラビアでは斬新なデザインが目を引くアバヤ。
すべて日本製の生地が使われている。
生地は福井県の染色加工業者が無償で提供した。
市場の開拓を担当している柄田紀彦さん。
鮮やかな黒を染める技術を持つ柄田さんの会社は
長年アバヤに使われる生地をサウジアラビアに卸してきた。
日本企業の間では半分のシェアを占める柄田さんの会社だが
近年は韓国やインドネシアなどアジア勢のライバルの追い上げもあり
売り上げは伸び悩んでいる。
(染色加工会社 柄田紀彦さん)
「会社はこの40数年間 中東での取引をしてきたが
売り上げを維持していくために何か手を打たなければならない。」
女性だけのパーティなどに着るアバヤは特に若い世代に注目されていることを知った柄田さんは
新たなデザインをより普及させるため
国内で唯一女性だけが在籍するファッション系専門学校と共同でコンクールを行うことにしたのである。
一般の女性にも自社の生地を使ったアバヤを見てもらい
同じ生地でアバヤを仕立ててほしいというのが狙いである。
(見学者)
「日本製の生地を使った創造的なデザインが気に入りました。
日本製の生地の輸入がもっと増えればとても購入しやすくなるわ。」
柄田さんはコンクールをきっかけとする業界への波及効果にも期待している。
開設されて8年がたつ専門学校の卒業生は独自のブランドを立ち上げたり
店を構えたりすることが多く
彼女たちの活躍によって業界での生地の評判が広がる可能性があるからである。
コンクールは去年に続き2回目の開催だが思わぬ効果も出てきている。
日本の生地を初めて使った生徒たちからはその肌触りが良いという感想もあり
アバヤだけでなくあらゆる種類の服に使うため
自ら生地を購入したいという要望が相次いだ。
(専門学校講師 オルガ・コズロウスカさん)
「生徒たちは生地がアバヤだけでなくドレスやスカートにも使えるので
どこで買えるのか聞いてくるんです。」
柄田さんの会社はアバヤの他あらゆる服の生地も手掛ける。
生徒たちの要望に応えようと直接商品を置ける店を探す。
(生地専門店 店長)
「日本製は良質なので売れると思います。
今はあまり流通していないので
日本の企業と取引が出来ればビジネスになると思います。」
中東で長く培ってきた経験をもとに販路の拡大を目指す日本企業。
各国との競争は激しくなるなか
成功のカギは女性の市場にどこまで食い込めるかにかかっている。
(染色加工会社 柄田紀彦さん)
「40年間サウジアラビアでやってきたのでここでぶれてはいけないと思う。
サウジアラビアの女性市場の望むところに必要なものを持っていく。」