5月9日 おはよう日本
寿司やてんぷらといった高級な和食が人気のサンパウロ。
日系人40万人が暮らすこの町には日本食の店が約600店もひしめいている。
いま注目されているのは日本のB級グルメである。
日本でおなじみのクレープの店。
オーナーは日系3世の石川ミリアンさんである。
3年間日本で働いた経験がある。
そのとき出会ったのがクレープだった。
店の名前「HACHI」は渋谷駅前のハチ公像からとった。
(クレープ店オーナー 石川ミリアンさん)
「週末によく渋谷や原宿にクレープを食べに行きました。
そのとき店を開くアイデアが浮かんだんです。」
メニューの中には
イチゴとあんことモチ、生クリームを入れた“イチゴ大福クレープ”も。
ブラジルにはなかった新しい味がウケて若者の人気を呼んでいる。
(客)
「友達から聞いて来たの。
とてもおいしい。」
“日本食は高い”というイメージを覆す店も現れた。
その名も“弁当屋”。
メニューはからあげ弁当や焼き魚弁当など
日本食の店で見かける人気のメニューを半額の800円ほどで提供している。
店内でも食べられるスペースを設置。
利用者は日本人や日系人だけでなく
日本への出稼ぎ経験のあるブラジル人にも広がっている。
(客)
「おいしいよ。
日本食が恋しくなるとここに来るんだ。」
(店主)
「日本にあるメニューをどんどん充実させていきたい。
ブラジル全土に店を展開させたい。」
ブラジルではまだ知られていない“手打ちうどん”で一旗揚げようという人もいる。
日系3世の水本アンデルソンさん。
ブラジル初の手打ちの店を準備中である。
水本さんは10歳の時に両親と日本に移住。
東京の企業で営業の仕事をしていたが去年ブラジルに戻った。
うどん好きだった水本さん。
独学でうどん作りを学び
試しにサンパウロに暮らす日本人に披露したところ太鼓判を押され
開店を決意した。
目下の課題は麺の改良である。
ブラジルの小麦粉ではコシのあるおいしい麺がつくれず
半年かけてたどり着いたのがアメリカの小麦粉だった。
(水本アンデルソンさん)
「アメリカのもので試しにやってみたらちょうどいい配合が見つかったんです。」
水分や塩加減などをその日の天候などに合わせてどう調整すればいいのか。
毎日のように日本人に意見を聞いて試行錯誤を重ねている。
(水本アンデルソンさん)
「私がきっかけとなって
うどん専門店もほかのライバルが出てくると思うけれど
切磋琢磨しながらうどんをブラジル職として慣れ親しんでいただければうれしい。」
日本の庶民の味をブラジルに伝えたい。
日系人の思いがブラジルの和食文化の幅をさらに広げている。