日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

釜石“真のレガシー”求めて

2019-07-05 07:00:00 | 報道/ニュース

6月9日 おはよう日本


日本で初めての開催となるラグビーW杯。
全国12の都市で48試合が行われる。
中でも唯一新たなスタジアムを建設するなど並々ならぬ思いで臨んでいるのが岩手県釜石市。
釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアム。
釜石市シーウェイブスvs.神戸製鋼。
かつて日本一を争った好カードである。
先制したのはシーウェイブス。
たてつづけにトライを重ねる。
しかしその後は神戸製鋼の猛攻が続いた。
神戸製鋼 57 ー 21 釜石シーウェイブス。
そんな中ひと際大きな声援を送る男性が。
釜石のラグビーを見守り続けてきた応援団
土肥守さん(61)である。
(土肥守さん)
「釜石はシーウェイブスとラグビーがなかったらワールドカップも来なかったので。
 地元のラグビーも盛んになって
 ワールドカップも来て
 ラグビーそのものの人気が上がり
 釜石も元気になって
 お互いに相乗効果。」
今年ラグビーW杯が開かれる岩手県釜石市。
大会に向け着々と準備が進んでいる。
土肥さんは市内の病院で院長として働いている。
シーウェイブスを通じてラグビーで町を盛り上げたいと活動してきた。
土肥さんがこれほどまでに応援するのは
町とラグビーには深いかかわりがあると考えているからである。
かつて日本最古の製鉄所とともに栄えた釜石市。
しかし昭和40年代後半になると“鉄冷え”により町の活気は失われた。
そんな釜石市を熱く燃え上がらせたのが日本選手権7連覇を果たした新日鉄釜石ラグビー部。
東北出身の無名の選手たちが高いの強豪チームを打ち負かす姿は
“北の鉄人”とたたえられた。
町の人たちはその姿に勇気づけられた。
そして2011年東日本大震災。
支援物資を運ぶボランティアに奔走したのが新日鉄釜石の流れをくむシーウェイブスの選手たちだった。
2か月後には練習を再開。
震災後初めての試合には多くの人たちがグラウンドに駆け付けたのである。
(土肥守さん)
「練習再開するというニュースを聞いたときはすごくうれしかった。
 日常が少し戻ってくるような感じ。
 復旧とか復興の始まりだなって。
 シーウェイブスが練習をするのが我々の生活を取り戻すスタートだと感じた。
 一緒に戦っている感じがして
 一体感が生まれた。」
神戸製鋼との試合を控えた6月3日。
土肥さんは仲間とともにグランドに駆け付け選手たちにエールを送った。
シーウェイブスが強くなることこそがラグビーW杯の後も町を盛り上げていくカギだと考えている。
(土肥守さん)
「ワールドカップという追い風をうまく利用して
 その時に強くなる。
 釜石市シーウェイブスが強くなって
 ラグビーは釜石がやっぱり強いとなったときが
 本当の意味でラグビーが求心力になって釜石が発展するもとになる。」
大会後を見据えてすでに動き始めている人もいる。
W杯の事務局で広報を務める長田剛さんである。
去年完成した釜石鵜住居復興スタジアム。
震災前 小中学校があった場所に約50億円をかけて建設。
最新の設備が備えられている。
(W杯推進本部事務局 長田剛さん)
「自動で芝が完走したっていうシグナルが出たら
 勝手に水を撒くシステムを備えている。
 どこにもまねできない
 釜石でしかできないスタジアム。」
長田さんにはこのスタジアムで実現させたいある光景がある。
新日鉄釜石の全盛期だった1981年
海外の強豪チームを招いて行った親善試合
VS.ポンソンビー(nz).
一目試合を見ようと大勢の人がグランドに詰めかけた。
この光景をもう一度釜石で見られるようにしたい。
そう考えたのである。
(W杯推進本部事務局 長田剛さん)
「地元の人にとって新日鉄釜石の選手がヒーローだった。
 身近で近い距離でラグビーをやっていけば昔のラグビーの町の雰囲気に戻るんじゃないか。」
町が新たなスタジアムを使って始めたのが中学生を対象にした「特設ラグビー部」である。
釜石市内の中学校にはラグビー部がない。
長田さんは
早いうちからラグビーボールに触れる経験を作ることで
その後もラグビーを続け
やがて選手として釜石に帰ってきてほしいと願っている。
実は長田さんはかつて釜石シーウェイブスの中心選手として活躍してきた。
その経験を生かし自らコーチを買って出たのである。
伝説のチームを生み
W杯の会場ともなるこの釜石からひとりでも多くの選手が育ってほしい。
長田さんの思いである。
(W杯推進本部事務局 長田剛さん)
「若い子たちがラグビーを始めて
 大きくなってまた釜石でラグビーをする。
 釜石の人たち全員が“ラグビーの町や 俺たちの町は”って言えるように
 自分には何ができるか常に考えながら
 絶対に釜石のためになると信じて毎日全力で頑張るしかない。」

 

コメント