6月24日 国際報道2019
今年3月
インドネシアの首都ジャカルタに新しい市民の足 地下鉄が登場した。
(インドネシア ジョコ大統領)
「新たな交通システムによってジャカルタに新しい文化がもたらされることになります。」
インドネシア初となる地下鉄の運行距離は15,7km。
およそ10kmは高架を走行し
ジャカルタ中心部の南北をおよそ30分で結ぶ。
2013年に着工し
総額1,200億円余の円借款を活用して建設された。
新しい交通機関に期待されるのは人の移動のスピードアップ。
人口3千万人を超えるジャカルタ首都圏では
“世界最悪の渋滞”と言われる渋滞に膨大な時間が費やされているからである。
開業から3か月
1日当たりの乗客数は約8万人にのぼっている。
(乗客)
「ここまで国が発展したのは誇りです。」
「清潔で時間に正確です。
毎日通勤で利用しています。」
地下鉄は人々の生活に大きな変化をもたらし始めている。
地下鉄の沿線にあるビルで働くアンディリさん。
以前は主にバスを使って片道2時間もかけて通勤していた。
今は地下鉄を利用して片道30分短縮。
ダイヤの乱れもほとんどなく予定通りに出社できるようになった。
運賃は日本円で100円ほど。
バスに比べ3倍以上高くなるが
その価値があるとアンディリさんは考えている。
(アンディリさん)
「地下鉄は時間に正確です。
ですから地下鉄を利用します。
週明けは早朝に打ち合わせがありますがバス通勤だったら遅れてしまうかもしれません。」
移動手段として定着し始めた地下鉄。
沿線のビジネスにも影響を与え始めている。
駅に隣接するショッピングモール。
駅と通路で連結されるというインドネシアでは珍しい仕組みを導入した。
利用者は地下鉄開業後 以前の2倍以上となる1日3万5千人に増加。
仕事を終えた人たちや家族連れが多く訪れるようになった。
(来店客)
「開業してからよく来ます。」
「仕事終わりに地下鉄でここに来ました。
ここは以前ガラガラでしたが
今は多くの人が来ていますよ。」
最近では日本食のレストランなど新しい店の出店が相次いでいる。
(コーヒー店店主)
「先月オープンしました。
もっと多くのお客さんがモールに来てくれればいいですね。」
(ショッピングモール 広報担当者)
「多くの人が訪れるようになったのは地下鉄のおかげです。
お客の数が増えて大変うれしく思っています。」
順調なスタートを切ったジャカルタの地下鉄。
他の交通機関とうまく結びつけば可能性はさらに広がると専門家は指摘する。
(バンドン工科大学 ウイブォウ准教授)
「この地下鉄は良いきっかけです。
もし地下鉄が他の交通機関とともによく整備されれば
人々は社交や教育などのためにもっと自由に移動するようになるでしょう。」
活力ある多くの人々をのせて
地下鉄は今日も街中を走る。