3月12日 NHK「おはよう日本」
アメリカ大統領選挙の民主党の候補者選びでも争点の1つになっているアメリカの格差問題。
国民のたった0,1%の超富裕層が圧倒的に富を握る一方で
健康保険の未加入が2千万人にのぼるという格差社会のアメリカ。
この状況に“待った!”をかける声が出始めている。
首都ワシントンの若者が多く住む住宅街。
この地区でひとり暮らしをするヘイゲンスさん(28)。
教育関連の会社で働くヘイゲンスさん。
ワンルームの賃料は17万円。
給料の半分近くを占めている。
家が貧しかったため大学へ進むために借りた30万円超の学費ローンの返済もまだ終わっておらず
将来の見通しはなかなか立たないという。
(ヘイゲンスさん)
「同世代はみんなマイホームや家族を持ちたいと言っていますが
私にはローンも家賃も医療費もあるので
難しいですね。」
今アメリカではヘイゲンスさんのように
格差の固定化に反発する若者が増えていると言われている。
(ヘイゲンスさん)
「こんな状況が許されるなんておかしいです。
一部の富裕層のためではなく
誰もが豊かになる社会にするべきです。」
富を握る側からも
格差社会を見直そうという動きが出始めている。
従業員200人のベンチャー企業 グラビティ・ペイメンツを率いる
プライスCEO。
プライスさんは社内の格差をなくすために大胆な改革を行なった。
従業員の間で広がっていた給与格差を見直すため
社員の最低年収をそれまでの倍以上の730万円に引き上げ
プライスさん自身も報酬を1億円以上カットし
社員と同じ給与額にそろえたのである。
きっかけとなったのは
年収の少ない社員が勤務後にアルバイトをしながら
家賃や保険料を賄っていたことを知ったことだった。
(決済代行会社 グラビティ・ペイメンツ プライスCEO)
「道徳的に
社員の生活費を満たす給与を経営者が支払うべきだと思ったんです。
多くの人から“社会主義者”とか“バカげている”と言われましたけどね。」
給与格差を見直すことで社員は業務に集中できるようになり
会社の売り上げは5年間で3倍に増加した。
(社員)
「とても寛大なことです。」
「730万円もの年収が保証されたので
私たちのやる気もアップしました。」
(決済代行会社 グラビティ・ペイメンツ プライスCEO)
「経営者はつい“もう少しお金が欲しい”と思いがちですが
それをやめる時が来たのです。」
行き過ぎた格差を是正しようという経営者はアメリカでも増えていて
去年“株主最優先からの転換”を表明した主な企業は
GM アップル Amazon フォード Boeing IBM United Airlinesなど。
労働者に報いるよう待遇を見直していくと言明している。
従来のやり方が持続可能ではないと気づき始めている。