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ニュージーランド マオリ語に光を

2020-04-16 07:00:00 | 報道/ニュース

3月25日 NHKBS1「国際報道2020」


ニュージーランドの紙幣。
NEW ZEALANDの文字の下に
AOTEAROAと書かれている。
ニュージーランドの先住民族マオリの言語マオリ語で
ニュージーランドを指す言葉である。
5年前から紙幣に英語と併記されるようになった。
マオリ語は一時は消滅の危機にあったが
近年見直されて息を吹き返しつつある。

マオリ伝統の踊り“ハカ”。
去年のラグビーW杯でも世界中を沸かせた。
使われているのはすべてマオリ語である。
ニュージーランドの人口約480万人の15%ほどを占める先住民族のマオリ。
“犬は禁止”“禁煙”など街なかで見かけるマオリ語。
しかしマオリ語は30年以上前に公用語になったものの
最近まで公共の場で話されることはほとんどなかった。
原因は
かつて政府が進めた同化政策である。
英語のみで教育が行われ
マオリ語が話せるマオリの人口は一時20%以下にまで減少したのである。
マオリ語が話せない中高年のマオリは
“失われた世代”と呼ばれている。
タフィティさん(68)。
両親はマオリ語を話せたがタフィティさんはほとんど話すことはできない。
(タフィティさん)
「60年代と70年代
 マオリ語は学校で話されることはありませんでした。
 家に帰るまで耳にすることもありませんでした。」
自分たちの固有の文化や言語が消滅することに危機感を覚えたマオリの人たち。
マオリ語の学校や保育園を地道に増やし
政府に授業をマオリ語でも行うよう働きかけた。
その結果 マオリ語を話せる若い世代が徐々に増えていったのである。
こうしたなか去年 ある動画が話題を集めた。
女の子に接客するファストフード店の店員。
マオリ語で話す女の子に対しマオリ語で応じたのである。
「ご注文は?」
「ストロベリーパイ。」
「残念ですがストロベリーパイは売り切れました。
 アップルパイかストロベリーサンデーはありますよ。」
マオリ語を日常で話す姿が反響を呼び
フェイスブックに投稿された動画は24万回も再生された。
接客にあたった店員 ソレンソンさん(26)。
「Paraoa porowhita はベーグル
 Keke riwai はハッシュポテト。」
幼い頃からマオリ語を学んできたソレンソンさん。
マオリの文化を誇りに思い
日常でも使うよう心掛けていた。
(ソレンソンさん)
「私はマオリ語を話すのが大好きです。
 自然に口から出てくるのです。
 マオリ語をいろんな場所で聞くことができたらとてもうれしいし
 勇気づけられます。」
マオリ語を話す若者が増えたことで失われた世代にも変化が表れている。
マオリ語を学び始める中高年が急激に増えているのである。
「本は何と言いますか?」
「PUKAPUKA。」
この日 初めてマオリ語の教室に参加したクラークさん(61)。
クラークさんがマオリ語を学び始めたのは
マオリ語を話す孫の姿を見たのがきっかけだった。
(クラークさん)
「16歳の孫と話したくて始めたんだ。
 私は自分の言語(マオリ語)も話せない。
 孫に笑われてしまう。
 それを変えたくてね。」
かつて消滅すると言われながらも息を吹き返したマオリ語。
自分たちの歴史と文化を大切にしたいという思いが
ニュージーランド社会に変化をもたらしている。


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