銅版画制作の日々

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海洋天堂(2010)**OCEAN HEAVEN

2011-10-07 | 映画:ミニシアター

 平凡にして偉大なるすべての父と母へ――。

評価:+5点=75点

京都シネマにて鑑賞。

ジェット・リ―がアクションを封印して挑んだ話題作。ジェット・リ―はまさに父の姿でした。

父とハンディを持つ息子の物語。作品全体がとても柔らかいタッチで描かれています。

冒頭、21歳になったターフーと心中を試みるシーンから始まる。2人で海に飛び込むが、ターフーは足かせをほどいて水面へ上がっていく。実はシンチョンは自身が癌で余命わずかと知り、自分が逝った後の息子の生活を案じた上の行動だった。

ターフ―は自閉症で重度の知的障害を持っており、父シンチョンが亡くなった後、一人で生きて行くのは明らかに困難です。

実はその昔、私も知的障害者の施設で働いていました。多くの自閉症の人たちとも接してきました。今は以前ほどではありませんが、でも僅かながら日々支援しています。

関わった親御さんからも自分が亡くなった後が心配だと話されることもありました。受け入れ先の問題はかなり深刻です。受け入れ先がかなり少ないというのも現実だし。

 中国の福祉事情はどうなのでしょうね。親亡き後の行き場はやはり厳しいのかしら。映画の中で父シンチョンが施設探しをしますが、なかなか困難そうでした。多分日本以上に大変なんでしょうね。


そういうことを考えると、シンチョンがターフ―に日常生活において最低限自分で出来ることを教えるというのは必要不可欠ですよね。

父の息子への深い愛情劇に心を打たれつつ、その背景にある現実の厳しい問題を突きつけられている感じでした。


ターフ―を演じたウェン・ジャン

1984年、西安生まれ。本作が5本目となる。この人の演技にびっくり!自閉症の特徴をとても上手く掴んでいた。あの手の動かし方がとても印象的で。。。。。本当にハンディあるのか?と思うくらい凄かったです。
何とこの作品で2010年上海国際映画祭メディア部門で主演男優賞をゲット。これは納得です。


女ピエロ・リンリンと仲良くなる。これはターフ―にとって恋?電話に出る方法を教えたりするリンリン。

水族館の巡業が終了したリンリンは、他の地にと去って行く。ターフ―は彼女を探して街に出て行く。父はいなくなったターフ―の行方を心配して探したら、マクドナルドの人形の横に座って眠っていた。ピエロだったリンリンに想いを馳せていたのかもしれない。

このシーンは何とも微笑ましいでした。感情表現を上手く出来ないターフ―だけど、彼女への思いがヒシヒシと伝わってきます。

あらすじ(goo映画より)

中国、チンタオ。妻に先立たれたワン・シンチョン(ジェット・リー)は、自閉症の息子ターフー(ウェン・ジャン)を男手ひとつで育てていた。シンチョンは自身が癌で余命わずかと知り、21歳になったターフーと心中を試みる。2人で海に飛び込むが、ターフーは足かせをほどいて水面へ上がっていく。向かいの家に暮らす女性チャイ(ジュー・ユアンユアン)はそんな事情を知らず、帰宅した2人を温かく迎える。シンチョンは水族館の仕事の合間に、自分の死後息子を預かってくれる施設を探す。同時に、ターフーに1人で生きていくために必要なことを、ひとつひとつ教えていく。一方チャイは、父子の留守中にシンチョンの主治医が訪ねてきたことから、シンチョンの病気や心中のことを知る。シンチョンに想いを寄せていたチャイは、彼の力になろうとする。かつて世話になった養護施設のリュウ先生のお陰で、ターフーを受け入れてくれる施設を確保する。シンチョンは最期の日まで、息子と施設で暮らすことにする。そのころターフーは、水族館に巡業で来ていたサーカス団の女ピエロ・リンリン(グイ・ルンメイ)と仲良くなっていた。シンチョンは死期が近づき、あることをターフーに教える決意をする。

最後の日まで息子とともに施設で暮らすことにし、自活するために必要なことを教えていく。水族館ではモップのかけかたを教え、館長に息子を雇って欲しいとお願いする。



そうそうもうひとつ印象的なのは、卵の料理やゆでたまご。父亡き後も彼は卵を自分でゆでていたね。

 作品紹介(goo映画より)

自閉症の息子を持つ父親が、自分の余命がわずかだと知らされたとき、息子に何を残していけるのかを考え、行動する――。厳しい現実に直面し、自分を上手く表現する事ができない息子の将来を案じ、ひとりで生きていく術を教え込んでいく…。脚本に惚れ込んだアクションスター、ジェット・リーがノーギャラで出演しているのが話題の本作。自身初となる“アクションなし”で、息子を思う普通の父親を切々と演じている。脚本・監督は、『北京ヴァイオリン』の脚本で知られるシュエ・シャオルー、撮影はウォン・カーワイ作品などのクリストファー・ドイル、音楽に久石譲と、国際色豊かなスタッフが集結、父と子の絆を描くこの感動作を盛り上げている。

 シュエ・シャオルーは本作で監督デビュー。この脚本は彼女の14年間の自閉症施設でのボランティア活動を元に生まれたそうです。

メディア 映画
上映時間 98分
製作国 中国
公開情報 劇場公開(クレストインターナショナル)
初公開年月 2011/07/09
ジャンル ドラマ
映倫 G

 

 

オフィシャル・サイト
http://kaiyoutendo.com/

 

 

 

 

Comments (10)
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