ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ドン・プーレン (Don Pullen)

2005年06月07日 | ミュージシャン


 ウォンビンと阪神の矢野捕手の区別がなかなかつかない今日このごろです。



 さて、記念(?)すべき「ミュージシャン」のジャズ篇、第1回は誰にしよーかなーと考えました。
 やはり巨匠といわれるビル・エバンスか、いやいやバド・パウエルのほうが、はたまた大御所マイルスかサッチモか。
 ジャズ好きな人なら、まあ店開きに花を添えるという意味もこめて、こういう方々が脳裏をよぎるんではないですか?


 しかしワタクシ、いきなりドン・プーレンを選んでしまいました。
 いわゆるマニアックなジャズ・ファンでない方々なら、心の中でこんな声を発することでしょう。


     誰?


       

 
 いや、おそらくそうなんですよね。もちろんかなりのジャズ好きの人には当然よく知られているのですが。。。
 実は、ぼくだってちゃんと音を聴いたのはほんの数年前なんです。
 で、大好きになった。





 ドン・プーレンは、1992年のマウント・フジ・ジャズ・フェスティヴァルに出演しているのですが、その時に演奏した曲「エル・マタドール」の映像を見たぼくは、目が真ん丸になってしまったんですね。
 なんと、


 手首を軸にして右手を回転させている!!!


 そう、それが噂の「炎のコブシ奏法」、あるいは「手の甲奏法」だったんです。
 いや~、驚きました。
 驚いたと同時に、その独特の世界の凄さにハマッてしまいまして。


 「コブシ奏法」については、オルガンの奏法をピアノに応用した、という説が一番信憑性が高いんですが、かつてあるインタビューで本人はこう答えています。


「演奏中に手の甲がカユクなったから、思わず鍵盤で掻いただけなんだ」

 
 ホンマかいな・・・。
 もっとも、これは「彼ならではのジョーク」とも言われていますが。


 とにかくその時に演奏した「エル・マタドール」の凄さに感激して、今にいたっているわけです。
 奏法もユニークでしたが、なんといっても彼の「歌」の個性的で美しいところに心惹かれてしまったんです。
 CDも、目にとまったものは買うようにしていました。





 デビュー時は「セシル・テイラー(フリージャズの鬼才)の再来」と言われ、ジャズ界期待の逸材と見られていました。
 ブルージーで正統的なジャズはもちろん、前衛的な演奏に長けていましたが、そればかりでなく、R&Bや土着的な民俗音楽なども幅広く取り入れたユニークなスタイルを作り上げました。


 残念ながらドン・プーレン自身は1995年にガンのため51歳の若さで亡くなっています。
 彼のメロディアスなソロと美しい音色はぼくを魅了してやみません。




コメント (2)
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