高校時代にジャズと関わるようになって早や幾星霜。演奏するようになってからでもかれこれ※十年は経ちました。
このジャズという奴、もともと好きになって演奏し始めたわけではなく、ある意味「関わりを持たざるを得なかった」というか、「仕方なくやり始めた」というか、少なくとも積極的に近寄ったわけではなかったんです。
それでも、楽しさ面白さが多少なりともわかってくるようになると、あれやこれやと手を出してみたくなるもんです。
当初は、いわゆる名盤ガイド、プレーヤーガイドなどの本を頼りにCDを買ったり借りたりしていました。
生まれて初めて買ったジャズのCDは、ウィントン・ケリーの「ケリー・ブルー」でした。理由は、「たまたま持っていたベースの教則本にそのアルバムに収められていた『朝日のごとくさわやかに』のベース・ラインが採譜されていたこと」と、「ただなんとなく」・・・。
これ、ハズしてたら単なる2500円のムダ遣いに終わっていたところです。
それはともかく、いろんなジャズ本を読んでいるうちに、いくら空っぽの頭でも気づくことがあります。
①なぜかどの本にもマイルス・デイヴィスというラッパ吹きが必ず登場している。(しかも崇めている)
②なぜかどの本にも「カインド・オブ・ブルー」というアルバムが必ず登場してい。(しかも奉っている)
さあ、にわかジャズ小僧としては手を出さずにはいられない。
すぐに買いに走るわけです。
そして家路を急ぎ、ジャケットから取り出すのももどかしくさっそく聴いてみる。
わからない。さっぱり。
まあ、当然といえば当然なんですね。
にわかジャズ小僧ごときにはテーマが分かりづらかったりするし、モーダルな演奏だからアドリブに入ると曲がどこに行ってるんだか見当もつかない。
当然、CDはさっさと棚に片づけられるわけです。
しかし友だち(とくにオンナのコ)が来たとき、『え~、ジャズとか聴いてるんだ~』と言ってもらえるように、棚中央付近の目立つところに鎮座して頂きます。
で、数年後。
ライブをこなすことにも慣れ、いろんなスタイルのジャズも聴き、小生意気にもいっぱしのことを語るようにもなりました。
さあ、いよいよ再び「カインド・オブ・ブルー」を聴く時がやって来たぞ!
正直言って、このアルバムより好きなものはたくさんあります。けれど、
この静謐感はたまらない。
ビートが強烈な音楽、またはメロディーを口ずさめるような音楽を中心に聴いてきたぼくですが、なにかがツボに入ってくれたようです。
今では断言(エラソウに済みません…)できます。
やはり「名盤」と呼ばれることに恥じないアルバムだった、と。
◆カインド・オブ・ブルー/Kind Of Blue
■演奏
マイルス・デイヴィス・セクステット
■録音
1959年3月2日、1959年4月22日
■リリース
1959年8月17日
■プロデュース
アーヴィング・タウンゼント、テオ・マセロ/Irving Townsend, Teo Macero
■収録曲
Side-A
①ソー・ホワット/So What (Miles Davis)
②フレディ・フリーローダー/Freddie Freeloader (Miles Davis)
③ブルー・イン・グリーン/Blue In Green (Bill Evans, Miles Davis)
Side-B
④オール・ブルース/All Blues (Miles Davis)
⑤フラメンコ・スケッチ/Flamenco Sketches (Bill Evans, Miles Davis)
■録音メンバー
マイルス・デイヴィス/Miles Davis (trumpet)
キャノンボール・アダレイ/Cannonball Adderley (alto-sax ①~②、④~⑤)
ジョン・コルトレーン/John Coltrane (tenor-sax)
ビル・エヴァンス/Bill Evans (piano ①、③~⑤)
ウィントン・ケリー/Wynton Kelly (piano ②)
ポール・チェンバース/Paul Chambers (bass)
ジミー・コブ/Jimmy Cobb (drums)