ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

お客はエラい?

2005年06月29日 | 価値観

                                           名優・安部徹

                         
 基本的に「お店」というのはサービス業だから、支払いはその店の売り物+サービス(値引きのことじゃないよ)に対してするもんだと思っています。


 ぼくは、支払いの時、できるだけ「ありがとう」とか「ごちそうさま」の言葉も添えるようにしています。
 カッコをつけているわけではないのです。
 いまはお客の自分でも、以前は「店側の人」の立場としていろんなことに遭遇してきましたから。
 ところが、いざ自分がお客として店に行くと、まるで今までの鬱憤を晴らそうとでもいうのか、手の平を返したように高圧的な態度をとる人の多いこと。
 フツーにできないのかなぁ、フツーに。(いや、それがその人のフツーなのかも)


 「ライフ・イズ・ビューティフル」という映画(1997年/イタリア)があります。この中で、ロベルト・ベニーニ演じるグイドが、ホテルの支配人である叔父にお辞儀の仕方を尋ねる場面があります。
 その時叔父さんは、「花が頭を垂れるごとく。垂れすぎた花は枯れた花だ。給仕は従者ではない、奉仕者なのだ」と答えます。
 ホテルマンの経験がある友人に聞いても、同じようなことを言ってましたね。


 昨日も喫茶店で「おい、ビールないのか!」の大声が。「申し訳ございません、アルコールは置いてありません」の返事に、「しょうがねえ店だな」「客がビール飲みてえ、って言ってんだから買いに行くとかすればいいんだよ!」などと悪態の羅列。
 自分をエラく思わせたいのかなんなのか。その悪態を耳に入れられるこっちの気分の悪さ、その方は解ってないでしょうね、当然。


 学生時代に喫茶店でバイトしていた時のこと。
 コーヒーカップを平気で灰皿がわりにする人、レジでお金を放り投げる人、マスターに言われて行儀悪い子供に(やさしく)注意したらそれに逆ギレして食ってかかってきた母親、いろんな人がいて、いろんな勉強をさせて頂きました。


 オフィス街にあったその店は、昼食のメニューも種類が多く、昼時にはサラリーマンやOLでごった返していました。
 その日も相変わらず忙しく、満席になってもお客はひっきりなしに入ってきます。
 グラスに水を注ぎ、注文を聞き、空いた食器は下げ、食後の飲み物を出し・・・、ああ目が回る~~って感じです。


 証券会社に勤めている常連さんが来ていました。
 顔も態度も名悪役・安部徹さんをさらにエラそうにした感じの人です。
 この人、カレーを食べ終えて(そう見えたんだよー)、タバコをふかしながら新聞を読んでいました。
 すかさず皿を下げに行きました。すると、いきなり

 「まだ食べ終わってねえだろうが!!!

と、怒鳴りつけられたんです。


   (畜生…)→註:心の叫び


 うぅぅ、おっしゃる通りです。ワタシが悪うございました・・・。
 でも、でもです、皿の真ん中にはポツンとちっちゃいニンジンが一個だけなんです。
 残したのかと思ったんだよぅ
 それならそれでタバコなんて吸うなよぅ
 まぎらわしいじゃないかよぅ~

 そしてぼくは、「自分がお客だからといって、絶対に偉そうな態度をとらない」ことを誓い、現在に至っておるわけです。



コメント (2)
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