「レイラ」「チェンジ・ザ・ワールド」「ホワイト・ルーム」「ホーリー・マザー」「レット・イット・グロウ」「ワンダフル・トゥナイト」「雨よ降れ」「恋は悲しきもの」「プレゼンス・オブ・ザ・ロード」「リトル・ウィング」「ティアーズ・イン・ヘヴン」etc etc・・・。
エリック・クラプトンの作品の中には、ぼくの好きな曲がとてもたくさんあります。
あるミュージシャンを好きになるのに、ぼくの場合ふた通りの状況があります。
聴いてすぐに「イイなぁ」と思うのがひとつめ。
そして、年月をかけてじわじわと好きになっていくのがふたつめのパターンです(まあ誰だって同じような感じでしょうけれどね)。
ぼくの場合、圧倒的に前者が多いのですが、クラプトンは数少ない後者のパターンでした。
中学時代、友だちから聴かされたのがエリックとの出会いです。
「At His Best」という、2枚組のベスト・アルバムでした。
その頃はヒットソングを片っ端から聴いたり、人気バンドの作品をとにかくあさっていただけだったので、エリックのようなタイプのミュージシャンに対しては、あまりピンと来なかったんですね。
あるミュージシャンのプレイを味わいながら聴く、なんて「芸当」は子供だったぼくにはとてもとても。
楽器を演奏するようになってようやく、「プレーヤーとしてのエリック」として聴くようになりましたが、それも、みんなが「クラプトンのギターっていいよな~」って言うから、というナサケナイ理由。
「どこがイイのかわからない」なんてカッコ悪くて言えなかったカッコ悪いぼくでした。
早弾きギタリストに目を奪われがちだったぼくには、エリックの良さが正直全然わからなかったなぁ。
だって、目を見張るようなテクニックで押しまくるタイプのプレーヤーじゃないですからね。
ただ、彼の演奏力よりも、味のある彼の作品の方が次第に気に入るようになりました。「レイラ」がきっかけになって、デレク&ザ・ドミノスからブラインド・フェイス、クリームと時代を遡るように聴いていきました。
ホワイト・ブルース系ギタリストとしてはマイク・ブルームフィールドやデュアン・オールマン、ヨーマ・コウコネンらの方がぼくには印象が強いし、ヴォーカリストとしても飛び抜けてうまいわけじゃない(ただし下手だとも思わないし、クラプトンならではの味わいがあるのは分かります)。
でも、一貫してブルースに根ざした「エリック自身の音楽」を追求し続けている作品群に触れていると、まるでギターを携えた彼の長い長い旅を見ているような気になるのです。
親友ジョージ・ハリスンの妻とのスキャンダラスな出来事を始め、ドラッグに溺れたり、子供が事故死したり、とにかく波乱に満ちた人生を送ってきたエリックですが、ダメージを受けても必ず甦り、以前にも増して充実した音楽を聴かせてくれる生命力にはただ尊敬の念を抱いているばかりです。
親友ジョージ・ハリスン(左)と
自分が年を取った時に、エリックのような中年になりたいのです。なんせ、シブくてカッコ良いですからね。1980~90年代の映像の中では、カッコ良さはもちろん、リラックスしながらも音楽に没頭しているホットな演奏場面をたくさん見ることができます。自分もああいう雰囲気を出したい! とにかく憧れます。
今こうして振り返ってみると、自分の幅の広がりにつれてエリックの良さも次第にわかるようになっていったような気がします。自分にとってエリックの音楽は、自分の音楽的成長を測ることのできるものなのかもしれません。
エリックの敬愛するB.B.キング(左)と
エリックせんせえ~成長したのぅ…