ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

レオンカヴァロのパリアッチ (Pagliacci)

2005年06月13日 | 名曲


 ルッジェーロ・レオンカヴァロ(Ruggiero Leoncaballo, 1858~1919)という作曲家がおりました。クラシック、それもオペラ好きの方ならご存じだと思います。
 彼は有名な歌劇「道化師(Pagliacci)」を作曲したことで知られています。この歌劇は、1892年にトスカニーニの指揮によって初演されて大成功を博し、現在でもひんぱんに上演されている傑作です。


 実は、「道化師」が入ったCD(昨年までCD化されてなかったみたい)を長年探していたのですが、やっと見つけることができました。
 そしてそれを手に入れるために、生まれて初めてネットショッピング(ぼくは超アナログ人間なのです・・・)で注文してみたのです。
 このふたつの出来事のおかげで、きょうはややテンションが上がり気味です。


 さて、その探していた一枚とは、メイナード・ファーガスンというトランペッターのリーダー作、「プライマル・スクリーム」です。その中に収められた「パリアッチ」が、このレオンカヴァロ作の名曲をアレンジしたものなのです。


 道化一座の座長が、昔の恋人とよりが戻ってしまった妻に激しい嫉妬を燃やします。偶然にもその出来事とそっくりな演目を演じることになりますが、その最中に憤激のあまり現実と芝居の区別がつかなくなり、妻とその愛人を舞台上で刺し殺してしまう、というのが歌劇「道化師」のあらすじです。


 メイナード・ファーガスンという人は、ビッグ・バンド好きの方なら間違いなくほぼ100%ご存じなんじゃないでしょうか。空気をつんざくような大迫力のハイ・ノート(つまり高音ですね)がトレード・マークのトランペッターです。いやもうその迫力ときたら! なにせ、シンセサイザーと高音部で対等にバトルするくらいもの凄いんです!!初めて聴いた時はこれくらいビックリしました。


     
     メイナード・ファーガスン


 この情熱的で悲痛な曲と、ファーガスンの憂いを秘めた強烈なハイ・ノートが合体するのを聴くととどうなるか。
 言うまでもなく、大興奮すること間違いなしです。
 ファーガスンのアレンジは、ゆるやかなルバートの、哀愁を含んだトランペット・ソロで始まります。
 イン・テンポからのギター・ソロ、テーマのメロディ、そして中間部のフルート・ソロでどんどん熱が上がります。
 ファーガスンの吹くテーマで迎える最初の山場! 
 そしてクライマックス!! 
 転調後に炸裂するファーガスンの驚異的なハイ・ノート!!!


 当時つき合ってたコに自信満々で聴かせると、
 「刑事ドラマのテーマ曲みたいね~」と言われて、ちょいとガッカリしました。
 が、よく考えるとドラマチックで高揚感があり、さらに哀愁を帯びた美メロであるからこその感想なのですね。
 ちなみに1970年代以降活躍した名プロレスラーのボブ・バックランドは、この曲を入場テーマに使っておりましたね。



レオンカヴァロのパリアッチ/Pagliacci
  ■演奏
    メイナード・ファーガソン/Maynard Ferguson
  ■発表
    1976年
  ■作曲
    ルッジェーロ・レオンカヴァロ/Ruggiero Leoncavallo
  ■編曲
    ジェイ・チャッタウェイ/Jay Chattaway
  ■プロデュース
    ボブ・ジェームス/Bob James   
  ■録音メンバー
    メイナード・ファーガソン/Maynard Ferguson (trumpet)
    マーヴィン・スタン/Marvin Stamm (trumpet)
    ジョン・ファディス/Jon Faddis (trumpet, flugelhorn)
    バーニー・グロウ/Bernie Glow (trumpet, flugelhorn)
    スタン・マーク/Stan Mark (trumpet, flugelhorn)
    トニー・スタッド/Tony Studd (trombone)
    デヴィッド・テイラー/David Taylor (bass-torombone)
    デヴィッド・サンボーン/David Sanborn (alto-sax)
    ジョー・ファレル/Joe Farrell (tenor-sax)
    マーク・コルビー/Mark Colby (soprano-sax, tenor-sax)
    ボビー・ミリテッロ/Bobby Militello (flute, baritone-sax)
    ボブ・ジェームス/Bob James (piano, synthesizer, clavinet)
    エリック・ゲイル/Eric Gale (guitar)
    ジェフ・ミロノフ/Jeff Mironov (guitar)
    ジェリー・フリードマン/Jerry Friedman (guitar)
    ゲイリー・キング/Gary King (bass)
    スティーヴ・ガッド/Steve Gadd (drums)
    ラルフ・マクドナルド/Ralph MacDonald (percussions)
    ・・・etc
  ■収録アルバム
    クロスオーバー・ファーガソン/Primal Scream (1976年)



Maynard Ferguson 『Pagliacci』 (from『Primal Scream』) 




コメント (14)
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