ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ベーシストがひそかにほくそ笑む時

2005年06月17日 | 価値観

♪昨夜のお店。壁にはルイス・ナッシュやリチャード・デイヴィスらのサインが。    



 昨夜はピアノ弾き語りの女性とのデュオでした。


 この人、自己主張も音楽的スタイルも実にはっきりしています。えてしてミュージシャンは自己主張が強いものです。ぼくもワガママさではひけをとりませんが(自慢にはならん…)、現場では絶対バンマス(早い話が"リーダー"、ですね)に従うことにしているので、ひとまずホサれずに済んでます。


 さて、彼女とはここのところ一緒に演奏する機会が多い。ゆえに彼女が何を要求しているのかも知っている。そして何をしたら彼女から冷たい視線を浴びるか(例えですよ、た・と・え。笑)も、知っている。


 昨夜は「彼女の仕事」なので、当然彼女がリーダーシップを取ります。


 彼女には気分よく歌い、気持ちよくピアノを弾いて貰わねばならない。さあ、その為にはどうするべきか。


 ぼくは足りない知恵をしぼってあれこれ考えます。
 「彼女はオーソドックスなアプローチが好きだから・・・、左手はトニックを抜いてテンション・ノートはあまり使わない傾向にあるから・・・、今夜は彼女の歌がメインだから・・・、etc etc」などといわば戦略を練ります。


 もともとぼくは自分も目立ちたいほうなので、型破りなスタイルで弾くことがわりとあります。しかし今夜はそんなことしたらシカラレてしまう、ガマンガマン。彼女の引き立て役に専念するのだ。


 で、1セット終了後の彼女。


  「あ~、き~もちい~い


    


 こう言わせた時が、ベース弾きならでは、の「気持ちの良い瞬間」ですね。心の中でひそかに「やった~」とほくそ笑むのです。


 また、そういうこちらの思惑を分かってくれていて、かつ信頼して音を出してくれる彼女もまた、ぼくにとってはサポートしがいのあるミュージシャンのひとりです。


 彼女の要求がキビシイのは、ひとえに「自分の音楽を表現したい」、という気持ちの現れです。だから、そういう人が真剣に要求してくることは、こちらも全力で応えたい、と思うのです。



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コメント (3)
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