思春期の子どもの感情は起伏の激しいものです。さきほど、はしゃいでいたと思えば、急に落ち込んだりすることもあります。
そして感情の高ぶった子どもは、ときとして次のように、親に主張することがあります。
「みんなスマホを持っているのに」
「みんな遊んでいて、夜遅く家に帰っているのや」・・・。
「みんな」というのは「くせ者」ですが、親が真っ向から反論すると、子どもの感情はますます高ぶっていきます。そして親子の口げんかになる場合もあるでしょう。
そのようなとき、親のとるべき応対は、じっと「聴く」ことです。そして聴いたことを、そのまま繰り返します。
「そう、みんながスマホを持っているんや」、「みんなが夜遅く帰っているんやね」・・・。
このように子どものいったことを、繰り返します。
やがて子どもの高ぶった感情がトーンダウンするときがやってきます。この瞬間を逸することなく、親は「だけど、高校生になるまでスマホはあかんで」「それでも、9時には家に帰らなあかんよ」
このように、子どもに対して押さえなければならないポイントを伝えます。それも穏やかに、明瞭な声で、しっかりと伝えます。その後は、たとえ反論が返ってきても、親は同じメッセージを伝え続けます。
さて、学校で困ったことがあって、子どもが落ち込んでいるときはどうすればいいでしょうか。
これも親はよく話を聴きます。誠心誠意、心を尽くして子どもの話を繰り返しながら聴きます。
「つらいんや」「それはしんどいなあ」。
親による言葉の繰り返しで、子どもが「守ってくれる」という安心感をもつことが重要です。
思春期の子どもは、安心感をもつと、次に自分がどうするべきかを考えます。
このようにして、子どもの中にある心の弾(力)性を引き出すのです。この心の弾(力)性は、専門的には「レジリエンス」と呼ばれています。たとえば、バネを引っ張ると、もとの形に回復しようとします。
大阪弁ではこのことを従来から「しぶとさ」とも言ってきました。
子どもは、本来この回復する力を内面にもっています。子どもが精神的に弱っているときには、内面の「回復力」を引き出すことが親の役割です