私は50代ですが、社会に出た頃は、JAPAN AS NO.1と、さかんに日本経済のよさが言われていました。
経済成長とともに会社が成長し、年功序列制、終身雇用制という会社組織の中で、自分の意にそわない異動や配属があっても、会社に属していれば、退職まで安泰がある程度見通せました。
今の40代の人が、三中の保護者の人にも多いとは思いますが、社会に出た1990年代は、企業の破綻・倒産、リストラに揺れた時代でした。
ある意味、「会社に頼っておれない」という危機感を覚えた最初の世代になるのかもしれません。
また、この世代の中から、自分でスキルや専門性を身につけて、会社に残留するか、転職・キャリアアップを目指す意識が強まりました。
キャリアアップして、収入も上げたいなど上昇志向が強まったたいう傾向もあるでしょう。
そして、その下の世代の概ね35歳以下になると、「アップ」よりは、「自分らしさ」へと軸が移りました。
自己実現や社会への貢献をしたいという気持ちが強く、仕事だけがすべてではない、自分の時間を大切にして、生活全体を充実させたいという願いが、比較的強く出ます。
SMAPの「世界で一つだけの花」がはやったのも納得がいきます。
このように見ていくと、いまの40代の人たちは、会社に生涯を託した世代と仕事以外のことにも価値を置く若者世代に、挟まれた世代だと言えます。
しかも、この世代から成果主義が導入された会社が多いのです。会社が成長することをなかばあきらめた人もいる世代だとも言えるでしょう。
ただし、その一方で、新しい生き方を追求する人も現れました。
たとえば、「イクメン」は、今の40代の中から生まれました。50代にはほとんど見られません。
自分にとって大切なものは何かを考え、自分式の幸せのイメージをふくらませた世代であるとも言えます。
人は自分なりのライフテーマを定め、それに向かっていくと、自律的に生きていくことができます。
同じように、中学生も、自分の目標を決め、それに向かって努力する生徒は、周りからあーせー、こーせーと言われなくても、自分をコントロールして努力します。
つまり、自律するのです。三中の教育目標は、「自立に向かう生徒を育てる」ですが、自律した子は自立に向かいやすいのです。
かりに、収入が多くても、高い地位についても、幸せになれるとは限りません。
これからを生きる中学生の世代は、従来の上昇志向から、自分の新たなライフテーマを見つけ、自分にあった幸福感や心の安寧を求め、生きてほしいと思います。
ちょうど40代にあたる保護者の方々にも、共通して志向する生き方ではないでしょうか。