私は経験上、思うのですが、子どもが「私は将来、これをしたい」という意志をはっきりと主張するときは、自分の力を発揮でき、自分をいかすことができると強く思っている証であると。
「飛行機の整備士になりたいので、高校は普通科には行かない」と中三の男子生徒が言い出しました。
親御さんは、高校は普通科に行き、一流大学に行かせたいという願いをもたれていました。
親子のあいだに葛藤が生じました。
今まで、親の言うことには従ってきた子が、頑固に自分の考えを通そうとする態度に、親御さんも戸惑い、びっくりした様子でした。
でも、結局は子どもの希望を聞き入れ、その子は山梨の航空高校に行きました。
ただし、親が息子の進路選択を応援し、喜ぶようになるまで半年かかったそうです。
5月に息子がいい出し、ちょうど進路の懇談になる11月ごろに、子どもの選んだ道を心から祝福して喜ぶようになったとき、親子の対話が違ってきたそうです。
幼いころから、かわいがられ、学校では上位の成績。親は当然、子どもに期待をかけます。
とくに、普通科志向が強い豊能地区です。「いい普通科の高校」に行かなければならないことで、子どもが受けていた重荷は、親が思う以上だったかもしれません。
しかし、子ども自身が、自分のやりたいことや自分の力を発揮でき、自分をいかすことができる場所は、普通科でないと感じたとき、葛藤となりました。
あとで、親御さんが次のように述べられていました。
「今まで家庭にはあの子の落ち着く場所(=居場所と言い換えましょう)が、なかったのだと思いました。」
自分の生き方を選び、その生き方を親に認めてもらえた子は、家庭に居場所をもち、親子の対話もうまくいくようになります。