中学生や高校生のなかには、将来、医療の道を志す生徒がいます。
わたしが校長在任中に、中3女子生徒で看護師になりたい子がいました。
進学を希望する高校の普通科には学力的に合格が少し難しい状況でした。
わたしはその生徒が看護師志望だと聞いていたので、十分に合格可能性のある別の高校の受験を勧めました。
その高校は、総合学科の高校で、入学後に自分の将来の進路希望にあわせて、カリキュラムを組むことができました。
そこで、「看護師になりたいのなら、その高校で看護系の学習をしたらどうですか?」とアドバイスしました。
結果、その生徒はその高校に進学し、卒業後に3年の看護専門学校を卒業して、いま看護師としてがんばっています。
また、幼い頃からアレルギー体質で生まれた男子中学生がいました。
小さい頃から、他の子が自由に食べる肉類や牛乳は、一切口にせず大きくなってきた中学生でした。
大きくなるにつれ、症状はかなり改善されてきましたが、長崎にいるおじさんとの話で、そういう生い立ちをふまえ、自分は医師になるという気持ちを高めてきました。
学力的にはかなり高い生徒でした。そこで医学部に大学進学できる高校に進学していきました。
このように、医師や看護師を強い意志で希望する子はいるのです。
さて、高校生が地域の病院で医療を1週間体験する活動が今、展開されています。
高校生は、医療の最前線で奮闘する医師や看護師らの姿を目の当たりにします。
医療の道を志す高校生にこのようなプログラムを提供する取り組みがいま注目を集めているのです。
職業観を養うことでミスマッチを防き、将来を担う医療人材の育成を支援するのが目的です。
そのようなプログラムは.NPO団体が運営しています。
プログラムの一つに、高校生が病床で患者と交流し、話を聴くコミュニケーション力の養成があります。
息者の症状や日常の暮らしぶりなどを聞き出すのは、診療の基本中の基本です。
参加する高校生は患者を1人担当します。
生徒はあいまを縫って、病室で患者の様子をうかがい、その日の体調や入院生活で気になる点などを聞きとります。
もちろん、はじめはぎこちないやりとりですが、日がたつにつれ、スムーズになっていきます。
市役所へ行き、地域の医療事情などを勉強することもあります。
病院に戻り、検査室や院内薬局、栄養相談室を見学したりします。
医療従事者から業務内容の説明を受けた後、訪問看護に同行して在宅医療を間近で体験することもあります。
1日の終わりには報告会があります。当日の出来事を報告し、感想や自身の反省点、翌日の目標や予定を共有します。
患者や医療従事者らとの対話を通じ、自分の中に起きた変化を言葉で表現します。
高校生が実際に患者を担当する地域医療体験プログラムは、将来の志望を現実に近づける方法として、いま少しずつ注目されています。
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